[事例ニュース]
化学メーカーの東ソーグループ、ローコード開発で内製開発を推進、ワークフローを標準化
2025年8月27日(水)日川 佳三(IT Leaders編集部)
総合化学メーカー、東ソーの情報システム子会社である東ソー情報システム(本社:東京都中央区)は、ローコード開発/ワークフロー管理プラットフォーム「intra-mart」を導入して、東ソーグループ各社向けシステムの内製開発体制を強化した。合わせて、申請ワークフローなどの業務プロセスを標準化・効率化を図っている。NTTデータ イントラマートが2025年7月1日に発表した。
総合化学メーカーである東ソーの情報システム子会社として2000年に設立された東ソー情報システム。東ソーとグループ42社の情報システムの開発・運用管理にあたっている。
東ソーの基幹システムは東ソー情報システムの東京本社が、各事業部門の業務システムは東ソー情報システムの南陽事業所(山口県周南市)が開発・運用をそれぞれ担っている。
従来、南陽事業所が担当する各事業部門向けのシステム開発は、Webアプリケーション開発フレームワークを用いたスクラッチ開発が中心だった。この体制では、「ユーザーの要望に柔軟に対応できるメリットがあるが、コーディングに時間がかかっていたほか、人材育成の手間もかかっていた」(東ソー情報システム)。
また、東ソーの各部門からはワークフローシステムを導入したいという要望が出ていた。一部の申請業務はスクラッチ開発でワークフローを整備していたが、部門ごとに個別の申請書をスプレッドシートで作成してメールで回覧・承認したり、これを印刷した紙の書類で決裁を進めたりなど、複数の方式が混在していたという。

そこで、開発効率の高いローコード開発環境とワークフロー基盤を兼ね備えたプラットフォームとしてNTTデータ イントラマートの「intra-mart」を導入した(図1)。intra-mart上での開発に必要なJavaScriptやHTMLなどの習得を進めつつ、東ソー情報システム社内でトライアル的にワークフローを構築してノウハウを蓄積し、まずは東ソー本体の約3000ユーザーに提供するワークフローや業務システムを構築した。
合わせて、人事異動や組織変更に追従してユーザー情報を更新する仕組みを構築。外部のアカウント管理システムからCSV(カンマ区切り形式)データを受け取り、intra-martに自動で取り込んでユーザー情報のマスターを更新する機能を開発している。
現在、東ソーグループにおけるワークフロー/システム開発の標準基盤としてintra-martを位置づけている。東ソー情報システムによると、79のアプリケーションがintra-mart上で稼働しており、登録ユーザー数は約1万2000、アクティブユーザーは約5000、年間申請件数は約8000件あるという。直近では、ERPのフロントシステムもintra-martで開発している。
ローコード開発ツールの導入効果として、内製開発力の向上を挙げる。「東ソーグループ全体として、ユーザー部門の要望に柔軟かつ迅速に対応できる開発体制を整備できた」(同社)。intra-martのバージョンアップやオンプレミスからクラウド(AWS)への移行も、外部ベンダーの支援を受けることなく内製で実施したという。