[事例ニュース]
松村組、全社の業務ファイルをNASから「Box」に移行、部門間の共有を容易に
2025年9月10日(水)日川 佳三、河原 潤(IT Leaders編集部)
建設会社の松村組(本社:東京都千代田区)は、各事業所・工事事務所が所有するプロジェクトデータを一元管理するため、ローカルのNASからクラウドストレージの「Box」に移行した。加えて、Box内データの検索性を高めるため、ブレインズテクノロジーのエンタープライズ検索システム「Neuron ES」を導入している。導入を支援したパナソニック インフォメーションシステムズ(パナソニックIS)が2025年9月10日に発表した。
建設会社の松村組はこれまで、各事業所や工事事務所において、すべての業務ファイル/データをローカル環境のNAS(Network Attached Storage)に保存していた。NASには、品質管理のエビデンスとなる現場の撮影画像をはじめ、図面や申請書、原価管理書などが、PDF、Excel、Word、CADなどさまざまなフォーマットで格納されていた。
松村組 執行役員 建設本部副本部長兼DX推進担当の安田和弘氏は、NASの課題として、他拠点からのアクセスが困難なことを挙げる。「設計変更の図面を本社で確認したい場合も、現場に行くか、担当者からメールなどで送ってもらう必要があった。また、施工写真の確認や進捗報告も現場からの送信に頼っており、リアルタイム性に欠けていた」(同氏)
さらに、安田氏によると、現場・本社・協力会社など、複数の拠点や関係者間で情報が分散し、個人のPCやメール、紙資料に依存する場面も多く、必要な情報をすぐに見つけられないという課題もあった。どこに何のファイルがあるのかを把握するのが困難で、過去の類似案件の図面や契約書、施工記録などの再利用が難しかったという。
同社 管理本部 人事総務部 情報システム課長の大島隆弘氏は、NASには安定稼働という点でも不安があったことを明かした。「工事事務所は、サーバー室のように温度管理がなされているクリーンな環境ではない。RAIDで冗長化しているとはいえ、故障の不安があり、事業継続性に影響を及ぼしかねない状況だった」(同氏)。
NASの全データをBoxに移行、ファイルの共有を容易に
両氏が挙げる課題を解決すべく、松村組は、すべてのNASを撤廃し、クラウドストレージに移行することを決定、2023年に、Box Japanのクラウドストレージ/文書管理サービス「Box」を導入した。導入・移行プロジェクトを、パナソニック インフォメーションシステムズ(パナソニックIS)が支援している(図1)。
NAS内の全データのBoxへの移行を終え、現在、Box内には4000万超、45TB分のファイルが格納されているという。自部門のみが参照・共有できる「OWN」と、全社員が参照・共有できる「INT」というフォルダ分類で運用している。

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Boxに備わる文書管理/コラボレーション機能を生かして、社外メンバーとのデータのやり取りにも活用している。大島氏によると、以前は社外の協力会社や設計事務所などと図面や申請書類を共有する際は、メール添付や紙資料のやり取りが中心で、バージョン管理やセキュリティに課題があったという。Boxにより、社外メンバーにも限定的なアクセス権を付与し、必要なファイルに限って共有できるようになった。
●Next:移行後に浮上したBoxの課題とは? 松村組はどう解決したか
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