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“データの器”から“価値創出基盤”へ―東洋紡がBoxの活用と共に進めるデータ活用の変革

AIを駆使しながらサイロ化したデータを統合し、全社で“データの意識変革”へ

2025年11月10日(月)神 幸葉(IT Leaders編集部)

米Boxがクラウドストレージの提供にとどまらずに、ユーザー企業のナレッジマネジメントや業務生産性向上への支援を加速させている。日本法人のBox Japanは2025年10月8日に開いた説明会では、CTOのベン・クス氏とBox Japan 社長の佐藤範之氏が、非構造化データの課題をAIで解決する新機能や、日本企業の「Box AI」の活用状況を紹介。そして、ユーザーを代表して東洋紡 CDOの矢吹哲朗氏が登壇し、Boxを活用したコンテンツの高度活用の取り組みを説明した。

AIで非構造化データの課題に対処する

 企業の最も価値ある情報が格納されている非構造化データ。だが、それらはさまざまな場所に分散し、サイロ化してしまいがちだ。これを、急速な進化を遂げるAIで何とかしようという取り組みが各社で進んでいる。

 米Box 最高技術責任者(CTO)のベン・クス(Ben Kus)氏(写真1)は次のように説明した。「AIを導入するにあたって、セキュリティリスクやAIが必要とするすべての情報にきちんとアクセスできるよう整備する必要がある。これらはAIそのものにとどまらず、『データの課題』と呼ぶべき、根深い問題だ」。

写真1:Box 最高技術責任者(CTO)のベン・クス氏

 これらの課題に対し、Boxは「Box AI Platform」を通じて、多くの顧客が長年利用してきた容量無制限のストレージ機能に加え、社内外とのコラボレーション機能、ワークフロー、メタデータ活用、セキュリティ分野におけるAI機能を提供している(図1)。

図1:Box AI Platformの全体像(出典:Box Japan)
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 「Boxは、AIファーストの考え方ですべての物事を進めており、構築するすべてのものはAIの活用を前提としている。AI Platformには、当社開発のAIエージェント、ワークフローの強化、セキュリティの確保に加え、他のプラットフォームとの連携といった役割を担わせ、顧客は組織内のあらゆるプラットフォームに横断的にアクセスできるようにする」(クス氏)

検索・分析・セキュリティを強化する新機能

 クス氏は、2025年9月に米サンフランシスコで開催した年次コンファレンス「BoxWorks 2025」で発表された新機能を紹介した。以下が2026年1月までに順次提供開始される(一部はベータ版)。

BoxAI検索エージェント:Boxの膨大なコンテンツの中から関連性の高い情報をAIが見つけ出す。単に答えを提示するだけでなく、根拠となる引用元ドキュメントなどの情報も合わせて示す。

Box AIリサーチエージェント:Boxの全データを読み込んで分析したうえで、より洗練された複雑なアウトプットを生成する。複数のレポートを読み込ませて、内容を統合した新しいレポートを生成するといったことが可能になる。

Box Shield Pro:インテリジェントなAIエージェントを活用し、ユーザー企業のデータセキュリティを強化する。AIエージェントがセキュリティ専門家の役割を担い、情報をレビューして重要なデータの特定や社外秘にすべきファイルを指摘。自動でファイルを精査し、適切なセキュリティラベルを付与する。 

Box Automate:エージェントと人間の作業を連携するワークフロー自動化エンジンで、ワークフロー向けにAIエージェントをカスタマイズする。ワークフローに組み込まれたAIエージェントがデータを精査・理解することで、情報の振り分け、承認、レビューといった作業を代行できるようになる。

 クス氏は、異なるプラットフォームのAIエージェント同士が、AIエージェントエコシステムの中で協調する時代が始まっていると指摘。Boxも他のプラットフォームのAIエージェントとの連携を視野に入れたサービス構築を進めていくとした。

●Next:東洋紡はBoxを手にして何を目指したのか?

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