[イベントレポート]

「AI時代における永続的な価値とは何か?」─コモディティ化の荒波を越えるSASの戦略

ガバナンス、エージェンティックAI、デジタルツイン、量子AIで繋ぐ人間の独創性とテクノロジー

2026年5月29日(金)神 幸葉(IT Leaders編集部)

米SAS Institute(以下、SAS)は2026年4月27~30日(米国現地時間)、米国テキサス州グレープバインで年次カンファレンス「SAS Innovate 2026」を開催した。AI普及に伴うソフトウェアのコモディティ化に対し、SASは人間の独創性とテクノロジーをどのように繋ぎ、価値を提供するか。メディアブリーフィングでは、「ガバナンス」「エージェンティックAI」「デジタルツイン」「量子AI」の4つの重点領域を核に、AI時代の障壁を打破する同社の戦略と展望が示された。

AI時代における価値提供─SASが定める4つの重点領域

 メディアブリーフィングの冒頭、SAS 最高技術責任者(CTO)のブライアン・ハリス(Bryan Harris)氏(写真1)は、「AI時代における永続的な価値とは何か」と参加者に問いかけた。

写真1:SAS 最高技術責任者(CTO)のブライアン・ハリス氏

 ハリス氏は過去20年間にソフトウェアの進化を振り返り、AIがもたらした変化を次のように語った。

 「AIは、自社構築か購入かという意思決定の経済性を根本から変えた。 毎年、ユーザーはベンダーに対し、『十分な価値を得られているか?』『コストに見合っているか?』『本当にこれらすべての機能が必要か?』という質問を投げかけてくる。 場合によっては、ベンダーをAIによる自社構築や他社の代替案に置き換えることもできてしまうだろう。今、AIがすべてを覆そうとしている」(ハリス氏)

 そのような状況下において、SASはいかにしてコモディティ化(注1)の曲線を追い越す、永続的な価値を長期にわたって創造し、顧客に提供するか。 同社はポートフォリオの多くの分野でイノベーションを推進しているが、現在は「ガバナンス」「エージェンティックAI」「デジタルツイン」「量子AI」の4点を重点領域に定めている(図1)。

図1:永続的な価値を提供するためにSASが定める重点領域
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注1:コモディティ化とは、独自性や高い付加価値を持つ製品・サービスが、市場の成熟や競合の増加によって他社との差別化が困難になり、汎用品になる現象

「判断のスケール」を競争優位性に変える

 ガバナンス領域については、人間の判断力をテクノロジーで補強し、文化を守るためのSaaSプラットフォーム「SAS AI Navigator」が、オープニングセッション上で発表された(関連記事「テクノロジーは楽器、弾くのは人間」─SASが50年間で磨き上げたアナリティクスの真価)。SAS AI倫理・ガバナンス・社会的影響担当VPのレジー・タウンゼント(Reggie Townsend)氏(写真2)は、AIツールが乱立する昨今、AIモデルに対して好奇心を持って接する一方で、AIが生活やビジネスにどう適用されるかを批判的に捉える視点を持つことの重要性を改めて説いた。

写真2:SAS AI倫理・ガバナンス・社会的影響担当VP レジー・タウンゼント氏

 「不確実な状況下では、人はAIに確実性を求めがちだが、確実性は硬直性を招く。そして硬直性は判断を停止させてしまう。AIの次の章は、スピードを持って統治し、信頼を、競争優位性へと変えていくために『判断をいかにスケールさせるか』にあるべきだ」(タウンゼント氏)

●Next:AIを実務に投入するために─責任あるエージェント運用のアプローチ

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「AI時代における永続的な価値とは何か?」─コモディティ化の荒波を越えるSASの戦略米SAS Institute(以下、SAS)は2026年4月27~30日(米国現地時間)、米国テキサス州グレープバインで年次カンファレンス「SAS Innovate 2026」を開催した。AI普及に伴うソフトウェアのコモディティ化に対し、SASは人間の独創性とテクノロジーをどのように繋ぎ、価値を提供するか。メディアブリーフィングでは、「ガバナンス」「エージェンティックAI」「デジタルツイン」「量子AI」の4つの重点領域を核に、AI時代の障壁を打破する同社の戦略と展望が示された。

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