欧米ではIT機器に関連するエネルギーの効率化、すなわちグリーンITの動きが盛んだ。グリーンITの実践には「グリーン of IT」と「グリーン by IT」の大きく2種類ある。本稿では、それぞれについて、ブレードサーバーや仮想化技術の活用など具体策を整理すると同時に、グリーンIT戦略立案の1つの指針として技術の展望を紹介する。
※本稿は野村総合研究所発行の「知的資産創造 2009年2月号」の記事を一部編集して掲載しています。
グリーンITへの取り組みが活発化
地球温暖化対策への意識が世界的に高まる中、情報システムにおいても、消費電力は無視できない問題になってきた。経済産業省の試算では、インターネットの普及・拡大に伴う動画サービスの増加などにより、2025年の国内のIT機器の消費電力は06年の5.2倍に増大するという。特に、「情報爆発」によってトラフィック(通信量)が増加し続けているネットワーク機器の消費電力は、06年から2025年までの間に13倍に達すると見られる。データセンターなどのサーバー機器についても2.5倍に増えるとされる(図1)。
一方、データセンターでは省スペースと高密度を売り物にした「ブレードサーバー」が普及し、ラック単位の熱密度は上昇の一途をたどっている。ラックにブレードサーバーをフル実装した場合、その消費電力は実に10kW以上になる。通常のデータセンターの施設で冷却可能な消費電力は5〜7kW。10kW以上というと、この値をはるかに超え、スーパーコンピュータ並みの消費電力、発熱量である。局所的に高密度になり過ぎないようにするため、装置の配置はもちろん、給電能力やフロアの空調の強化、局所的な冷却システムの導入を検討しなければならない。
このように、データセンターのIT機器の消費電力削減は、グリーンITの観点だけではなく、運用面でも喫緊の課題となっている。
国内外でIT業界を挙げたグリーン活動が加速
欧米では2006年頃から、IT業界を挙げた省エネルギー化の動きが本格化している。クライメート・セイバーズ・コンピューティング・イニシアティブは、省エネを目指す業界団体の1つ。インテルやデル、グーグルといったIT機器やITサービスのベンダーが、コンピュータの電力消費量を2010年までに07年比で50%削減することを目標として活動を続けている。AMDやヒューレット・パッカード、IBMは業界団体グリーングリッドを発足。データセンターの省電力化を図り、電力効率の評価手法や技術ロードマップの策定を検討している。
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