「本件は、シビラティ(後述)3で対応させていただきます」。テクニカルサポートからそのように言われた場合「なぜ3なのですか?困っているので最優先で扱ってください」と不満を言う場合がある。ユーザーにとっては最優先で扱ってもらいたいのは山々であるが、テクニカルサポートにも事情がある。ここでは、そもそも優先順位とは何かという点を明確にし、優先順位を上げるためのアプローチの方法を述べる。もちろん、むやみに上げることはできないが、適切なアプローチ方法というものがどのようなものであるかという点に関して述べていく。
さて、テクニカルサポートにおいて優先順位はどのようにして決められているのであろうか。優先順位に関して、通常、テクニカルサポートがユーザーに連絡してくるのは「シビラティ」(Severityの日本語表現。「セベリティ」や「シビアリティ」と記述する場合もあるが、本稿では「シビラティ」と記述)というものである。日本語に訳すと重大度あるいは深刻度というものであって、優先順位を直接表現しているものではない。それでは、テクニカルサポートで使用されているシビラティとはどのようなものであるのか、また、このシビラティと優先順位というのはどういう関係になるのかをまず述べていきたい。なお、ここで記述することがすべての会社で同じというわけではなく、あくまで、典型的なやり方ということで理解していただきたい。
1.シビラティの意味
まず、テクニカルサポートで、シビラティをどのように定義しているかを述べる。基本となる考え方は、ユーザーの環境およびビジネスへの影響度に応じてシビラティを設定している。なお、各メーカーのシビラティの定義に関しては、サポート情報としてWebサイトに公開しているのがほとんどであるので、各メーカーのWebサイトで確認していただきたい。
シビラティ | 内容 |
---|---|
1 | 該当製品やサービスの障害により、ユーザーの業務に重大な影響を及ぼしている場合 |
2 | 該当製品やサービスの障害により、ユーザーの業務の一部に重大な影響を及ぼしている場合 |
3 | 該当製品やサービスの障害により、一部の機能が使用できなくなっている場合 |
4 | ユーザーの業務には影響はないが、機能の説明や使用方法の説明が必要である場合 |
これを見ると、あくまでテクニカルサポートの論理で設定されていることがわかる。つまり、ユーザーのビジネス上のインパクトが大きいものに関しては高いシビラティで対応を取るという考え方のみで定義されているわけである。ユーザーにとっては、たとえ「一部の機能が使用できなくなる」場合であっても、それが使用できないために大きな被害を受けることもあるわけであるが、この場合には高い優先順位で扱ってもらうことができないということが発生する。
しかしながら、優先的に扱うかどうかの基準を上記のシビラティ以外の方法で定義するのはかなり難しい。ユーザーの気持ちを汲んで設定するというようなことにすると、非常にあいまい(上記のシビラティの定義もあいまいではあるが)にせざるをえなくなり、声が大きいユーザーの問い合わせを優先するというような事態になりかねない。したがって、たとえ実際の優先度と異なっているとしても、テクニカルサポートが、ユーザーに対して示すことのできるのはシビラティだけであるということができる。
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