「2. BPMとは」(第2章中編)で言及したように、BPMでは情報システムの活用が大きな役割を果たします。BPMはその骨格をなす「可視化」の部分、つまりモデルをどのように作るかといった部分で人に依存するところも多く、すべてを情報システム化できるわけではありません。とはいえ、BPMのシステム化(BPMシステム)においては標準化したプロセスをシステム化し、さらにプロセスを相互に連携させることが可能です。これによりプロセス実行の効率化を図ることができます。
5.BPMと情報システム
ワークフローもBPMのシステム化の1つです。ワークフローとは、「全体的もしくは部分的にコンピュータを利用して、ビジネスプロセスを促進あるいは自動化すること」(注:ワークフロー関連仕様の標準化団体であるWfMC(Workflow Management Coalition)の定義)です。ワークフローシステムとも呼ばれます。
BPMシステムとワークフローを厳密に区別することは難しいのですが、ワークフローは「稟議書や交通費の精算など、複数人の間で書類を回覧して承認をもらう人間系の承認の仕組み」をシステムに載せることに主眼を置きます。一方、BPMシステムは「受発注や在庫管理など、特定の人がしている業務自体をシステム化して連携させる」ことに主眼が置かれています。この両者を組み合わせて活用する場合もあります。
なお一般的にBPMシステムと言った場合、ワークフローを包含したものであることを追記しておきます。
ここで1つ明記しておきますが、BPMシステムとは現在の業務を単にシステム化するものではありません。「標準化による効果」の項でも述べましたが、単なるシステム化の場合、使用頻度の高い低いにかかわらず似たようなシステムが乱立し、開発・保守にコストがかかる一方、システムが有効に利用されないということも起こります。ビジネスプロセスとして整理し「標準化」したものを対象とすることで初めて、BPMシステムは大きな効果を発揮できるようになります。
会員登録(無料)が必要です
- BPM実践事例3:三技協~「業務構造」「プロセス」「マニュアル」の可視化/共有化で企業変革~(2011/05/20)
- BPM実践事例2:リクルート~「じゃらんnet」を支えるバックオフィス業務の効率化(2011/05/06)
- BPM実践事例1:日産自動車~業務をいかに標準化するか(2011/04/22)
- 総論:理論から実践へ、事例で学ぶ取り組みのポイント(2011/04/15)
- BPMの今後の方向性・可能性(第6章)(2009/10/09)