国内市場でも選択肢が広がってきたクラウドサービス。なかでも、ユーザー企業が業務システムの基盤として導入しやすいとの観点から、OSやミドルウエアなども含めてサービスする「PaaS」への関心が高まっている。ここでは主要なPaaS環境について、その詳細を見てみよう。
現状のクラウドサービスは、次の3つに大別するのが分かりやすい。仮想マシンやネットワークなどITリソースのみを提供する「IaaS」、これにOSやミドルウエアも加えて提供する「PaaS」、さらに業務アプリケーションも含めて提供する「SaaS」である(図5)。中でも、最も動きが活発なのがPaaSだ。
![図5 クラウドコンピューティングの構成要素](/mwimgs/4/3/-/img_43bada9c8b7ab56234eef7f8bae9bc0142033.gif)
図5 クラウドコンピューティングの構成要素
そこで、国内で利用できる主要なPaaSの概要をまとめた(表5)。選定に際しては、以下のの3要件を満たすことを基準とした。
- 仮想化技術を用いてITリソースを月額料金の単位で期間貸しする
- OSやミドルウエアといったアプリケーションの開発・実行環境も含む
- 要望に応じて、物理的にパーツを増設するのではなく、論理的なリソースをオンデマンドで割り当てられる
ユーザーは何を比較すればよいのか。仮想マシンの性能や価格だけでは不十分で、利用できるOSやDBMSの種類などもチェックが必要だ。リソースを増強する際にかかる時間も見逃せない。さらに、システムの状況を監視する機能や、可用性の基準となるSLAも重視したい。
別の注意点はクラウド技術が発展途上にあり、図5が最終形ではないこと。今後はWebアプリケーションサーバーやDBMSが仮想化技術を内包し、今より上位のレイヤーで可用性が論じられる時期も来る可能性が大きい。関連技術を常にウォッチする姿勢も大切だ。