企画アイデアを練る時、取材メモをまとめる時、中長期的な予定を立てる時などなど…。ごちゃごちゃになった頭の中を整理するのに、「マンダラート(Mandal-Art)」という手法にお世話になっています。簡単にいうと、3×3=9のマス目の中央に検討すべきテーマを記し、周辺8つのエリアに関連するキーワードなどを追記しつつ発想を展開。一方で、全体の構造を意識しながら発散したアイデアを収斂させていく、というものです。
20年近く前の話。考案者であるインダストリアルデザイナー、今泉浩晃氏のオフィスを訪ねる機会がありました。
かつて自動車のラリーレースに参戦されていた頃の経験談や、国産タイヤメーカーのマーケティングプロジェクトに携わっていた話をひとしきり伺った後、当時、氏が「マンダラート手帳」として世に出していた黒革バインダーとリフィルのセットを購入したのが、この手法と出会ったきっかけです。
当初は「紙ベース」だったマンダラートのフレームワークはその後、ITを身にまとい、Windowsなどいくつかのプラットフォーム上で使えるように進化しました。私もアップルのNewton版の後、しばらくはPalmOS版を快適に使ってきました。しかし、そのPDA(ソニーのCLIE)がついに故障。次なる利用環境をどうしようか考えていたところ福音が! 2009年8月末に、iPhoneアプリとして登場したのです。
使い勝手はPalm版よりもさらにこなれた感じでグッド。通勤電車でもカフェでも、ふと思い立った時にポケットから出して「頭のお片付け」にいそしめます。
ただ、まだ私がiPhoneの扱いに不慣れなこともあり、メモ入力のシーンではまごつくことも。iPhone用の外付け小型キーボードがあれば、サクサク入力できていいのに…。
と、思っていたところに発表となったiPad。iPhone/iPod touch用アプリが動くし、対角9.7インチ程度のディスプレイがあればソフトキーボードによる入力もいくぶん楽になるはず。いや、いざとなれば外付けキーボードDockもあるし…。まぁ、実際に手にしないと分からないこともあるけれど、もしゲットした暁にはマンダラートが私のキラーアプリになるに違いありません。
こうして、肝心の「生産性向上」は二の次に、新しいデバイスを買うための理由付け(言い訳?)だけがメキメキ上達するのでありました。 なお、マンダラートについては、今泉浩晃氏の執筆による各種書籍やヒロ・アートディレクションズのWebサイトに詳しい情報があります。
- 「もの忘れ常習者の神アプリ」の巻:第29回(2011/02/09)
- 「海外出張の必携マシン」の巻:第28回(2011/02/02)
- 「社員証ホルダーでもしもし」の巻:第27回(2011/01/19)
- 「高速テキスト入力専用機」の巻:第26回(2010/12/15)
- 「チームで考える道具」の巻:第25回(2010/12/01)