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[編集部の生産性倍増奮闘記]

「海外出張の必携マシン」の巻:第28回

2011年2月2日(水)川上 潤司(IT Leaders編集部)

先般の米国出張直前、持って行くはずのノートPCが故障してしまいました。ピンチヒッターとなったのはiPadやポメラなどのデジタル端末。さてさて、仕事の生産性は上がったのかどうか…。

 「海外出張の直前になるとノートPCがトラブルを起こす」──。こんな望まざる法則が、常に当てはまってしまう筆者。つい先般も米国出張があったのですが、準備をしているさなかに突然ハードディスクが不調をきたし、電源を入れてもOSが起動しない状況に陥りました。

 どうやらディスクの論理障害らしく早期復旧は無理っぽい。やむなく秋葉原に走り、バルクのディスクを5000円くらいで買ってきて換装。Windows7をクリーンインストールし、必要最小限のソフトを入れ、これで何とか急場をしのげる…。そう思った矢先、今度はバッテリの調子がおかしい。AC電源をつなげても、充電レベルがいつまでも0~1%の域を出ない。つまりはバッテリ駆動はもはや不可能で、うっかり足に引っかけて電源ケーブルが本体から抜けようものなら、直ちに「プシュ~ン」と落ちてしまう有り様なのです。

 予備のバッテリは持ってないし、ネットで手配してもすぐには届かない。うーむ。こんな心許ない状況で出張に持って行くのはリスキーか!?--というわけで今回の出張の主な携行品は、やむをえず以下の通りになったのです。


■iPad(Wi-Fiのみ、3Gは非搭載)
今回のメインマシン。現地でのネット閲覧やメールへの返信、時にはオフィスのデスクトップ機にリモートログインしたり、弊誌サイトのCMSにアクセスして記事を更新したりといった用途にも使用。文字入力が多い時はBluetoothキーボードをつなぐ。 [参考記事] 第15回第20回

■iPhone 4
メールのチェック(基本的に閲覧のみ)や、現地での通話による連絡手段に。キャリアはAT&Tにつなぎ、ソフトバンクの「海外パケットし放題:上限1480円/日」を適用。専用アプリでICレコーダーとしても使用。
[参考記事] 第23回

■ポメラ
セミナー聴講や取材時のメモ入力用サブマシン。現地で簡単な原稿を書くときもこちらで。欧米のメディアの面々に物珍しがられた。ただし、余裕がないときはメモ用紙+3色ボールペンに頼ることも多かった。
[参考記事] 第26回

■AirMac Express
ホテル客室のネット接続環境は有線LANであることが多く、iPad/iPhoneを直接つなげない。そこでAirMac Expressにケーブルをつなぎ、Wi-Fiのアクセスポイントとして機能させる。各種設定は事前に日本で済ませておいた。

■デジカメ
携帯性と広角での撮影を考慮してリコーのGX200に。記憶メディアは、Wi-Fi機能を備えた「Eye-Fi Explore X2」。無線LAN環境下であれば、自動的にFlickrにアップロードするように設定して使用。
[参考記事] 第22回


 さて、これらの組み合わせで仕事をしてきたわけですが、これが思ったほどスマートにいかないシーンも多々ありました。──出張のメインイベントは、とあるカンファレンスへの参加。例えば、基調講演の会場に赴くと、そこには、いわゆるパイプイスがずらりと並ぶだけでテーブルなど無かったのです。聴講メモを、使い慣れたポメラで入力しようと試みましたが、小型ゆえ膝の上で操作するには不安定この上ない。膝上に載せたiPadをテーブル代わりにもしてみましたがイマイチで、途中で諦めてメモ用紙とボールペンに切り替える始末。ちなみに横に座った米国メディアの記者が、MacBook Air(11インチの方)を腿に載せてこれ見よがしにガシガシ打ち込んでいたのが印象的でした。自分にスキルさえあれば、iPadでのマシンガン入力で対抗したかったけど…。まあ、まだまだ無理な注文です。

 一方、個別(あるいはグループ)インタビューなどで、しっかりしたテーブルがあるシチュエーションでは、ポメラによる入力も快適でした。取材相手や同席するプレスの面々から冒頭に「その“液晶付きキーボード”はなんなんだ?」と興味津々に尋ねられることが多く、場を和ませる上で一役かっておりました。で、取材が一段落した後、ポメラで入力したテキストをメインで使うiPadに移すのですが、その作業もすんなりとはいきません。

 イベント会場のプレスルームに行き、誰もが使えるように主催者側が据え置いているノートPC(有線LANでネット接続済み)を拝借。USBケーブルでポメラをつなぎ外部ストレージとして認識させた上で、その中にある当該テキストファイルをDropBox(オンラインストレージサービス)の個人領域に保存します。プレスルームは無線LANが使えるようになっていたので、今度はiPadからDropBoxにアクセスし、目的のファイルをダウンロードするのです。面倒にも思えますが、結局はこれが現実的な方法でした。

 ホテルの部屋でのネット接続は、思ったよりもスムーズに行きました。携行したAirMac Expressをコンセントに差し込み、机上に用意されているインターネット接続用の有線LANケーブルをつなぐ。で、iPad/iPhoneからWi-Fiのアクセスポイントを探して接続するというのが基本的な流れ。最低限必要となるいくつかの設定を、自宅のネット環境で事前に済ませおいたのが良かったようです。

 ちなみに今回宿泊したホテルでの接続料金は、noon to noon で1日12ドルちょっと。やや高めなのはやむを得ないとして、回線速度がもう少し速ければなぁというのが率直なところです。

 連日夜9時過ぎのこと。ネット接続が済んだiPadをスタンドに立てかけ、BTキーボードを手前に用意して準備も万端。いざ机に向かって、日本に積み残してきた仕事を片付けようとするタイミングで、いつも決まって睡魔が襲ってくるのです。これはいかん。何が何でも現地時間に体を合わせようと、iPadを手に取って、とりあえず麻雀ゲームで神経に刺激を与えてみる。

 しかし、こんな時に限って配牌も引きも芳しくなく、一向に心身は覚醒せず。点棒は減り、アルコールの摂取量だけが増える…。集中力が途切れつつある中で満貫を振り込もうものなら万事休す。5~6時間後、どんよりと重い頭を引きずって、決して爽やかではない目覚めを味わうことになるのでした。

 あくまで現時点での個人的な結論。原稿執筆を伴うような海外出張に必要最小限の道具を持って行くなら、やはりノートPCに一日の長がある。そして眠い時は、抗うことなく素直に寝る。その方がよっぽど生産性が高い!

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