スマートフォンのように、デジタルカメラでも撮影した写真をその場で各種のWebサービスにアップロードしたい。そんな思いからEye-Fiカードなるものを使い始めました。さて、その実体は…。
以前、このコラムでも少し触れましたが、iPhoneなどのスマートフォン(と専用アプリ)を使えば携帯カメラでとった「写真メモ」をEvernoteなどのWebサービスにその場でアップロードすることができます。
イベント告知のポスターや、いつか行ってみたい飲食店など、気になる対象を1枚の写真として切り取っておけば、それらがクラウド上のストレージにどんどんたまっていく…。ふと記憶の断片をたどったり、特段の目的がなくても撮りためたメモを定期的に見返したりすると、いろいろな発見があるものです。知人の中には、日記代わりに、1日の行動の節目節目に写真で記録を残すことを習慣づけている人もいます。
さて、同じようなことをスマートフォンではなく通常のデジカメでもできないものか…。仕事柄、コンパクト(時には一眼)のデジカメを使うシーンが結構とあります。
記者説明会の場でスクリーンに投影されたプレゼン資料を記録する、カンファレンス会場に展示された新製品を写真に納める、インタビューで相手の顔写真を撮影する…。そして仕事の行き帰りに、偶然にも綺麗な虹や夕焼けに出くわすとしっかりカメラを構えてシャッターを切りたくなることもあります。撮影した画像ファイルは、こまめにメモリーカードからPCに移しておけばいいのですが、これが意外に億劫なもの。撮りためる一方で、いざ写真が必要になった時に限って、その日は家にカメラを忘れてきていたということは茶飯事。だからこそ、スマートフォンと同様に、撮ったその場でクラウドへ、という仕組みがあれば嬉しいのです。
というわけで以前から気になっていた「Eye-Fi」を今夏から使い始めました。これはデジカメ用のSDメモリーカードでありながら、このサイズの中に無線LANのクライアント機能を備えたユニークな製品です(開発は米Eye-Fi)。私が入手したのは「Eye-Fi Explore X2」というモデル。容量は8GB(SDHC規格)です。
パッケージにはメモリーカードと、USB接続タイプのカードリーダー/ライターが入っています。で、リーダーにカードを差し込んだ状態でPCに接続すると、管理ソフトがインストールされ初期設定のメニューが表示されます。ここで自分が使用する無線LANの情報(SSIDやパスワード)を入力し、接続テストで問題がなければ完了。その情報がカードに書き込まれます。公衆無線LANサービスも含め、1枚のカードに32個所の無線LANアクセスポイントを登録できます。
とりあえず自宅とオフィスの無線LANに接続する設定を済ませ、テスト撮影してみたところ…。問題なく画像が自分のPCに送られてきました。ここでの流れは、撮影した画像データが無線LANを介してEye-Fiが運営するネットワークサービスに送られ、次いで自分のPCの所定のフォルダに転送されてくるという仕組みです。設定によっては、同時にPicasaやflickr、Evernoteといった著名なWebサービスにアップロードすることも可能です。無線LAN対応のデジタルフォトフレームを使えば、撮った写真をすぐに表示させるといった芸当もできちゃって、いやぁ便利。
撮影して即アップロードというためには、カメラが自分が使える無線LANの環境下にあることが条件となります(そうでなければ、オフィスや自宅に戻ってからアップロードということになる)。外出先でも無意識のうちにアップロードできないものか、ということで本コラム「iPadに3Gを後付けする」の回に触れたモバイルWi-Fiルーターを使うことにしました。Eye-Fiカードに、アクセスポイントとして「光ポータブル(光LINK PWR-100)」の設定を追加。
早速、このカードを入れたデジカメとモバイルWi-Fiルーターをカバンに突っ込んで記者説明会に直行。その場で何枚か写真を撮り、オフィスに戻ってみると…PCにもPicasaにも問題なく写真がアップされていました。めでたし、めでたし。ただし、ご推察の範囲とは思いますが、デジカメのバッテリーはそれなりに消費します。いざという時にバッテリー切れという憂き目を見ないよう、毎度のフル充電を習慣づけなければなりません。
またEye-Fiは、同社の製品ユーザー向けにiPhoneアプリも提供しています。こちらは、iPhoneで撮影する写真についても、デジカメ+Eye-Fiカードと同等の環境で扱いたいという人に向いた便利なツールです。
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