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[イベントレポート]

モバイル対応と新UIの開発が目玉に、“情報過多”に手を打つNotes/Domino

米国コンファレンス現地レポート:IBM Lotusphere 2010/IBM

2010年3月1日(月)IT Leaders編集部

モバイルやソーシャルネットワークへの対応と同時に、情報が多すぎることへの対処を実現する─。2010年1月、IBMがフロリダ州オーランドで開催した「Lotusphere」で明らかにした、Lotus Notes/Dominoの最新の姿だ。現地の模様を報告する。

[基調講演]
競争力の鍵はコラボレーション

アリステア・レニー氏
Lotusソフトウェア事業部 ゼネラルマネジャーのアリステア・レニー氏。コラボレーションの価値を力説した

 基調講演に登壇したのは、Lotusソフトウェア事業部のゼネラルマネジャーであるアリステア・レニー氏。同氏はまず、コラボレーションの重要性を強調した。「景気低迷の中、IT投資を抑える企業は多い。だが現実にはコラボレーションに積極的に投資し、情報活用を促進する企業が競争力を高めている。今こそ行動を起こす時だ」。

 コラボレーション範囲の広がりにも言及し、「これからは(社内だけでなく)協力企業や顧客とのコラボレーションが重要になる。モバイルを使うなど、どこからでも情報をやりとりできる環境が必要である。時間や場所の制約をなくせば、企業は生産性の向上や他社にない優位性を保持できる」などと述べた。その上で、モバイル対応と、クラウド(SaaS)サービス「LotusLive」に注力していく考えをを示した。

[新製品・サービス]
社外でのLotus活用を促進

 Lotusphereでは、Lotusシリーズのロードマップを公開するのが恒例となっている。昨年はLotusLiveが一番の目玉だったが、今年はレニー氏の発言から明らかな通り、モバイルとクラウドとの連携を強化する新製品/サービスが多くを占めた。

 その1つが「Lotus Notes Traveler Companion」。Lotusシリーズのメールやスケジューラをモバイルで利用可能にするiPhone用アプリケーションで、暗号化メールをiPhoneで確認できる点が特徴。メール中のリンクをクリックし、パスワードを入力すると暗号を解除したメールが届く仕組みである。「Lotusは本来、セキュリティを強く意識している。それを維持しながら、モバイル環境に対応した」(メッセージング/コラボレーション プロダクトマネージャー ジョン・ベック氏)。

 ブログを設置したり、専門家同士のコミュニティを構築/運用する「Lotus Connections」の機能も強化した。コミュニティ機能をLotusLiveとして提供し、企業外とのコラボレーション促進を支援することがそれだ。同じ興味や専門の人が集まる場を用意し、情報の共有や知識の継承、相互の意見交換を支援する。オンプレミスとクラウドの連携も視野に入れる。「社内向けか、社外向けかを意識することなく、同じ環境で情報を利用できるようする」(レニー氏)。

 しかし、ユーザー企業からすれば、各機能をどう生かせば情報共有やコラボレーションを促進できるのか、が悩みの種だ。そこでIBMは今回、活用促進に向けた新たなアプローチ「Colla-boration Agenda」を発表した。機能を前面に押し出すのではなく、企業が抱える課題に対するコラボレーションや業務の進め方を提案するのが、その骨子である。

 具体的には銀行、保険、医療、官公庁の4業種に関して、課題とコラボレーションの在り方をパターン化。ビジネスやコスト面のメリットを明示する。「コラボレーションにより、ビジネスがどのように変わるのかの具体像を示す」(レニー氏)。その後、ベストプラクティスとして異なる業界へ展開していくという。

IBM Lotusphere 2010基調講演の会場
大型スクリーンを何重にも設置した基調講演の会場。約5000人もの参加者が押しかけた

[今後の製品戦略]
人を起点とした将来像を示す

 基調講演や各セッションでは、新製品/サービスの発表や新機能のデモが行われる度に参加者から拍手が起こっていた。中でも特に注目を集めたのが、基調講演の最後に発表された「Project Vulcan」だ。

 これは新製品やサービスではなく、次世代コラボレーションシステムのブループリント(青写真)。コラボレーションを活性化する上で必要になるユーザーインタフェースや機能を考え、今後のLotusシリーズに実装していく。

 その狙いの1つが、予定表やメール、Web会議、マイクロブログなど増える一方の情報への対応、すなわち情報過多への対応である。そのために、メールやWeb会議などの情報を集約表示するポータル画面や、PCとモバイル機器など異なるデバイス間で一貫性のあるユーザーインタフェースを開発する。

 同じ狙いで、人と人の関係を視覚的に把握できるようにする分析機能も用意する。例えば、A氏とB氏があるテーマについて頻繁に連絡を取っているとする。一方でB氏とC氏が似たようなキーワードで連絡を取っている。このときの人の相関関係を分析。A氏とC氏のつながりを提示し、新たなコラボレーションへの発展を促す、といったイメージだ。

 Project Vulcanを推進するため、IBMはソーシャル技術を専門に開発する研究所を米ケンブリッジに設立した。さらに、Lotusユーザー向けに開発中の技術を公開する「LotusLive Labs」を新設。フィードバックを参考にしながら技術開発を進めていく。開発そのものに、自らソーシャル技術を取り入れるアプローチである。

Project Vulcan
メールや社内ソーシャルメディア、業務システムのデータなどに一元的にアクセスする次世代基盤、「Project Vulcan」の画面イメージ。まだ“青写真”の段階だが、多くの来場者の注目を集めた

[事例発表]
Zurich、そしてパナソニック

 当然だが、Lotusphereでは事例の発表もあった。スイスに本拠を置く保険会社のZurichは、全世界6万人の社員のメール基盤として、Lotusシリーズを採用。自動車関連の独Continental AGは、同業のSiemens VDO Auto-motive AGの買収後、7万7000人の社員のコミュニケーション基盤をLotusシリーズに統一した。

 全世界で38万人の社員を擁するパナソニックが、グローバルでLotusLiveを採用したことも紹介された。

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IBM / Lotus / SaaS / グループウェア / Notes/Domino

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