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[調査・レポート]

読者調査で浮かび上がった企業のデータ品質と管理状況─データマネジメント最新事情

今こそ実践!データマネジメント Part1

2010年11月2日(火)栗原 雅(IT Leaders編集部)

ヒト・モノ・カネと並ぶ重要な資産だと言われ続けてきたデータ。日々発生してシステムに蓄積されていくデータの価値を、企業は十分に引き出しているだろうか。本誌の独自調査などを通して浮かび上がってきた「データマネジメント」の最新事情を紹介する。データ品質を高めたいという要望と、それを実現しようとする機運がにわかに高まっている。

データ品質への不満が爆発、10%が致命的な事態を経験

ITユーザーの半数以上がデータの品質に不満を持っている─。本誌が2010年9月10日から10月1日にWebで実施した読者調査から、こんな実状が浮かび上がってきた。データマネジメントの現況を象徴する結果を、次ページに一覧する。

ITユーザーが不満を抱く最大の理由は「必要なデータが見つからない」こと。「その他」とした回答者からは、「データが散在している」「データ管理に必要なルールや概念が存在せず共有できない」という声も寄せられた。

ここで注目したいのは、調査結果に示したグラフCである。データ品質に起因して業務に支障が出た経験を聞いたところ、致命的や軽微なトラブルを経験した回答者が34.5%に上ることが分かった。報道で明るみに出ないだけで、企業内ではシステムのデータ品質を原因とするトラブルが多発していたことがうかがえる。

ユーザーからの強い要望も、予算確保やROIの明示が壁に

データマネジメントとは、データの品質を高め、それを維持する一連の取り組みである。具体的には、異なる業務/システムで使うデータの関係性や整合性、業務処理に伴って発生するデータの品質などを管理すること。データモデリングやデータクレンジング、マスターデータ管理、メタデータ管理といったデータの設計からシステムへの実装、運用、保守を包含する。

データマネジメントに対するITユーザーの要望は根強い。読者調査では回答者の80%以上がデータ品質の改善の必要性を感じている。

それにもかかわらずデータマネジメントの取り組みはこれまで、特別に目立った動きとして表面化してこなかった。背景には「データマネジメントだけでは予算を確保しにくい」「実際の取り組みを主導する部門を決めにくい」「ビジネス面でのメリット/利益の明示が難しい」という課題がある。

34.5%が、今まさに検討中
業界を挙げた活動で成果も

最近になって、データマネジメントの実践機運がにわかに高まってきた。読者調査では34.5%が「今まさに検討している」と回答した。

ソニーはグループ全体でデータの整合性を確保するためにデータマネジメントの専門組織を設けた。酒類・食品の業界では、国分や菱食など卸売大手が中心になってデータマネジメント専門会社を共同で設立し、一定の成果を上げ始めた。データマネジメント専門担当者の設置意向は強く、読者調査では回答者の87%が「設けたい」とした。

データマネジメントの普及促進団体も相次ぎ活動を始める。国際的な専門家団体「DAMA(Data Management Association International)」の日本支部が2011年4月に発足する。それに先立って同支部が2010年11月15日に開催するイベントでソニーの事例が披露される。同時期にベンダー主体のコンソーシアムも立ち上がる見通しだ。

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