日本電気(以下、NEC)は2010年11月11日、ERP(基幹システム)ソフトウェアを開発・販売するスウェーデンのIndustrial and Financial Systems(以下、IFS)およびIFSジャパンと、クラウドサービス事業で新たな協業関係を確立した。これにより、NECは世界で初めて、IFS社のERPパッケージソフト「IFS Applications」をクラウドサービスとして提供する。そして同日より販売活動を開始し、2011年4月よりサービス提供を開始すると発表した。
同サービスは、「IFS Applications」の会計・販売物流・生産業務領域の機能にNECが開発した追加機能を組み合わせ、クラウド指向データセンタを活用してSaaS型で提供するものである。最大の特徴は、会計・販売物流・生産管理業務の領域を30種以上のモジュールに細分化し、モジュール単位に利用料金を設定している点である。従来は各社ごとの個別カスタマイズ要素が多いためにSaaS型の提供は困難とされてきた販売物流・生産管理領域において、モジュールという小さな業務単位にすることでカスタマイズ要素を減らし、SaaS型提供を可能にしている。
顧客企業は、事業環境やニーズに応じて必要最小限のモジュールを選択することができ、コストを削減しながら柔軟なシステム利用が可能となる。NECは、同等システムをSIで構築した場合と比べ、5年間トータルでTCOを30%以上削減できると算定している。
サービス概要は次のとおり。
1.「IFS Applications」をモジュール単位にSaaS型で提供
- 「IFS Applications」の会計・販売物流・生産業務領域の機能に、NECがIFSと共同開発した日本企業特有のニーズに適応する機能(例えばファームバンキング連携機能、手形機能、製番機能等)やグローバル需給調整機能を組み合わせ、NECのクラウド指向データセンタを活用してSaaS型で提供。NEC開発の機能を加えることで、特に日系企業の業務プロセスに適したシステム利用が可能である。
- 会計・販売物流・生産管理業務それぞれの領域のモジュール単位にSaaS型で提供する。例えば、会計は一般会計・売掛管理・買掛管理などのモジュール、販売物流管理は在庫管理・購買管理・受注出荷管理・顧客納品計画などのモジュール、生産管理は製造オーダ管理・製番管理・個別受注生産・繰返生産管理など、合計30種以上のモジュールを顧客のニーズに適した組み合わせで提供する。
- モジュール毎の利用料金を設定し、導入企業の利用ユーザ数と組み合わせた月額サービス料を設定。
- 多言語、多通貨、多拠点対応等のグローバル対応機能により、海外の複数生産/販売拠点へのガバナンスを効かせたシステムの統合化や、業務領域や対象拠点に対して段階的なシステム導入が可能である。
2.導入コンサルティングサービスの提供
- 顧客の業務と同クラウドサービスで提供する機能との適合性を判断する「フィット分析」
- サービス適用要件を抽出し、運用・移行までのロードマップを描く「サービス要件定義」
- サービス適用に向けた具体的な設計・実装を行う「サービス適用準備」
- 教育・テスト・移行を実施し本番稼働を行う「サービス適用・移行」
NECは、SaaS型「IFS Applications」をグローバルに販売し、今後5年間で50社への導入を目指すとしている。