ECや顧客管理、ゴルフ場予約といったシステムを刷新するG10プロジェクトは、9月に基本設計と検証作業を完了させ、いよいよ開発フェーズに入った。各チームは10月から詳細設計にとりかかり、11月中には開発・単体テストを終える予定だ。
一方、同プロジェクトにおいてPMOの役割を担うG10推進チームはこのころ、開発後に向けた“仕込み”を着々と進めていた。12月に開始するシステム間結合テストの準備である。システム間結合テストとは、単体テスト、システム内結合テストを終えたシステム同士が正しく連携して動作するかどうかを確かめる作業だ。EC、販売・在庫管理、会計・予算管理、ワークフロー、会員管理、顧客管理、コールセンター、BIの各システムを対象とする。
OSSのテスト管理ツールを採用
推進チームは、各チームが基本設計のまっただ中にあった8月から、テスト管理ツールの選定作業を進めていた。HP製の「Quality Center」をはじめ、様々な製品を調査・検証した。その結果、テスト進捗管理ツールの「Test Link」とバグ管理ツールの「Red Mine」に白羽の矢を立てた。どちらもオープンソースソフトである。
ところが、推進チームを支援するアビームコンサルティングはこれらの採用に難色を示した。「操作が複雑すぎる。Excelで十分では」と言うのだ。推進チームの一員である志賀室長は、この申し出を却下した。「Excelは、複数のテスターが同時進行で進捗状況を書き込む用途には向かない。稼働後の保守性を考えても、データベース型の専用ツールを導入すべき」と判断したからだ。使い勝手の点でも、自分たちで実際に試していたことから、操作法をマスターするのにさほど時間はかからないことは分かっていたという。大日健CIOはこの一連の出来事を「ツールの選定においても、ベンダーに丸投げではいけないと痛感した」と振り返る。
テスト管理ツールは決まった。推進チームが次に急いだのは、システム間結合テストの進め方やスケジュール、体制を定義したガイドライン作りである。各チームの担当範囲も、インタフェース単位で明確化した。ユーザー主導でそこまでやった理由を、志賀室長は「単一ベンダーがすべてのシステムを開発するなら、『そっちの社内でうまく調整してくれ』と言えば済む。しかし、G10のようにシステムごとにベンダーが異なるプロジェクトはそうはいかない。ベンダーに任せると、各社間での意思疎通がうまくいかず、重複や抜け、漏れが発生する危険がある」と語る。
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