前号の「最前線」で扱ったデータマネジメント実態調査の中から、紹介しきれなかった調査結果の一部を追掲する。特にデータ連携基盤の整備状況と、マスターデータ管理の実施状況や課題にフォーカスした。なお、ここでは日本データマネジメント・コンソーシアムの調査研究部会が実施したアンケートの結果をもとに、MM総研とIT Leaders編集部が独自に分析した内容を示す。 MM総研+IT Leaders編集部
企業内にあるデータを有効活用するためには、システム間を連携してデータを全社共有できる仕組みが欠かせない。では実際の整備状況はどうか(図1)。「全社的に構築済み」と回答した企業は12.0%にとどまり、十分に整備していない企業が大勢を占める。

「全社的に構築済み」に加え、「一部で構築済み」と「必要に応じて都度構築」と答えた企業(189社)に対し、連携基盤やインタフェースを構築した目的を聞いた結果が図2である。「データの流用性を高めて作業負荷を軽減するため」と答えた企業が7割を超える。そのほか、「データ形式や業務プロセスを標準化するため」(27.0%)や「企業統合時のシステム連携を迅速化するため」(19.0%)といった、市場の変化に俊敏に対応しうる体制強化を目指した取り組みと位置づくケースも目立つ。

図3から図5は、マスターデータ管理に関する回答結果である。現在の実施状況を示した結果が図3である。「一元的に管理して利用」(36.3%)と「統合(名寄せ)して利用」(13.5%)と回答した、マスターデータを統合済み企業は約5割にのぼる。その一方で「部門ごとに個別に利用」し、マスターデータを連携しない企業が27.0%と必ずしも少なくないことにも留意しておきたい。

実施状況の内訳を従業員規模別に見た結果が図5である。従業員が100人未満の場合、企業規模が小さく実施しやすいことから一元管理している割合が43.8%と高い。一方で「部門ごとに個別に利用」する割合も31.3%と比較的高い。これは容易に一元化できるものの、分断したマスターデータについては、コストや必要性を考慮して一元化する必要なしと捉える企業が多いためであろう。
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