[加藤恭子のマーケティング志向で行こう!]

ありがちな“ポジショントーク”多機能神話の落とし穴

2012年12月18日(火)加藤 恭子(ビーコミ 代表取締役)

今日、Facebookを見ていたら、北米のものと思しき宅配業者の広告が話題になっていました。その企業のトラックの側面後方に、競合他社のロゴマークが入ったトラックの先端が描かれているんです。つまりは、「ライバルよりうちが先行している」(自分たちのビジネスにアドバンテージがある)というメッセージです。

露骨にも感じますが、欧米では一般的に見受けられる手法。自社製品は他と比べてどんな点が優れているかを、ライバルの社名や商品名を挙げながら明示する広告は、テレビや雑誌など様々なメディアで展開されています。

日本ではどうでしょう。我を張ることが疎んじられる傾向が強いので、馴染まないかなと思っていました。でも最近では一部のブログや広告などで、「A社の場合」などと社名は伏せながら(中には実名を出して)比較する例が見られるようになってきました。

これは国内外問わずのことですが、比較広告を見ると、「それって“ポジショントーク”じゃない?」と感じることが少なくありません。つまり、自分達にとって都合のよい枠組みの中でストーリーを展開し、最終的には自社製品の優位性を醸し出すやり方です。

こうした手法は、かなりテクニックが必要だと常々感じています。まず、自社製品にそれだけの優れた機能がないと説得力に欠けます。根拠を示す際にも公平さを意識しなければなりません。それらを軽視すれば“我田引水”というレッテルを張られるばかりか、不要な敵を作ることにもなりかねません。想像以上に敷居が高い手法なのです。

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