[加藤恭子のマーケティング志向で行こう!]

「どうして日本にはCMOがいないの?」を考えてみる

2013年11月12日(火)加藤 恭子(ビーコミ 代表取締役)

日本国内でCMOを設置している企業は3.9%? こんなショッキングな数字があります。さてさて、本当にこれでいいものなのか。今回は、そんなテーマで書いてみます。

 IDC Japanが2013年6月に実施した、日本国内の企業におけるマーケティング活動動向調査の結果を発表しています。この調査では、国内企業のCMO(マーケティング最高責任者:Chief Marketing Officer)の設置率はたった3.9%にとどまるものでした。日本にはCMOがほとんどいないというのは、以前から言われてきたことなのですが、改めてそれを調査機関に数字で示されると、どうしても驚いてしまう私たちがいます。

率先して旗を振るリーダーなのかどうか

 あらゆる業種でマーケティングの重要性が叫ばれ、書店にはマーケティングの書籍があふれ、ITを駆使した様々なマーケティングのツールが提供されているというのに、なぜCMOがいないのか─疑問でしかたありません。

 最近はソーシャルメディアの普及に伴い、企業内にデジタルマーケティング部のようなものを設け、ソーシャルメディア活用や、インターネット広告を一手に引き受けるチームの登用が増えているという話を聞きました。求人情報サイトを見てもデジタルマーケティングの専門家の求人が目立って増えています。でも、現実にCMOがいる会社は少ないわけです。

 ここでいったん、CMOの定義を考えてみたいと思います。Cクラス(海外ではChief~で始まる役職をCクラスと呼びます)の役職のうち、CIOは所謂、企業内ITの旗振り役ですよね。ポイントは、単なる部長職ではないというところにあると思います。部長と最高責任者の違いは、ズバリ率先して旗を振るリーダーなのかどうかではないでしょうか。

 ある伝統的な大企業では、新しいやり方が敬遠されていました。変化は痛みを伴いますし、失敗する可能性もあります。変わらなければ、部長は定年まで安泰でもあります。そうなると、どうしても過去のやり方を踏襲するほうに流れます。大きな失敗もないけど、大きな変革もないわけです。

 部門によっては、それは正しい方法かも知れませんが、マーケティング部門でこれをやってしまうと、大げさでなく企業の存続さえ危ぶまれてしまいます。他社は何をしているか、提供している商品やサービスは時代の流れに合っているのか、サービスの宣伝方法や提供形態は顧客にふさわしいものなのか、それらを考慮しながら変革のために「旗を振る」必要があるわけです。

 いわゆるボトムアップ型で現場からじわりじわりと変えて行くこともできるかもしれませんが、方向性を決める役割をする人が必要です。方向性が決まってこそ、現場が具体的に動けるのです。

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