「日々、様々な環境変化と熾烈な競争がある。勝ち抜くために必要なのは、多様性をバネにイノベーションを起こし続けること。ダーウィンの進化論を持ち出すまでもなく、どう変化に適応し、日常的に自らを変革するかが大切だ」。
2月初め、企業情報化協会が開催したカンファレンスの基調講演で日産自動車の志賀俊之COOは、こう語った。「そのための戦略の骨格をなすのが、グローバル化とダイバーシティ(多様性)である(写真)。例えば経営会議メンバーは日本人以外が50%、本社執行役員で見ても4分の1がすでに外国人」と続ける。
その数日前、同社ダイバーシティ ディベロップメント オフィスの桐竹里佳 室長に話を聞く機会があった。「多数の女性や外国人が活躍するルノーとの提携をきっかけに、日産もダイバーシティを戦略として多様な人材から成る強い組織を作る方針が決まった。2004年に同オフィスを設置、女性が働きやすい環境作りに取り組んできた。管理職に占める女性比率は、2004年の1.6%から12年には6.7%へと、じわじわ増えている」。
これに関連して「20:30」という数字がある。管理職や専門職に占める女性の比率を2020年までに30%に高めるという、政府が定めた目標のことだ。すでに30%をクリアしている欧州では、社外取締役のそれを2020年までに40%にする指令を出した。背景には「女性が働きやすい職場は、すなわち外国人やマイノリティも働きやすい。そうすることでダイバーシティが進展する」との考えがある。
ダイバーシティに言及したのは、本号特集「BYOD」と強い関係があると思うからだ。BYODをはじめとするモバイル環境の整備は、単にリモート端末から社内のシステムを使えるようにすることだけを意味しない。むしろ人の働き方や業務プロセスのあり方、さらには企業と社員の関係を変えるパワーを持つ。
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