[IT人材育成[戦略と実践]]

IT部門の“実情”を直視する―IT人材育成[戦略と実践](2)

2013年11月2日(土)高橋 秀典(スキルスタンダード研究所 代表取締役)

今日の情報システムは企業を支え、ビジネスを戦略的に遂行するための武器でもあります。その構築・実現を担うIT人材の育成は、あらゆる企業にとっての最重要課題にほかなりません。本連載では、企業のITリーダー=IT戦略・情報システム責任者が、いかにしてIT人材育成・活用を推し進めていけばよいのかを掘り下げていきたいと思います。

絡み合った不安

 この構造の中で、シニア層は、自分の経験や実力と比較して、ミドル層以下について、「いつも待ちの態勢で自主性がない。文句だけ言って建設的でない。自分が若いころは上を押しのけてでもやったものだ」などと言われるのをよく耳にします。また、ミドル層は、自分の立場を守ることと、上と下を見てなるべく「事なかれ主義」に徹するという傾向があります。それに対して、ジュニア層の方々は、企業の考え方の変化や技術の進歩についていけず、実際にどうしていいか分からない、それゆえこの会社には自分が目指すような人がいないと、簡単に言ってしまうというのが実情でしょう。

 会社が明確に何かを提供することや、考えるための環境を提供するのは至難の業です。一方で、ここ数年自殺者やうつ病の方が急増しています。IT関係も例外ではありません。それぞれ理由は違うのでしょうが、ミドル層とジュニア層の方々がその大半を占めるようです。よく言われるIT関係職の低い待遇や勤務時間の長さに、さらにこれらの現象が追い討ちをかけて、IT関係に対する学生の人気は急激な落ち込みを示し、景気上昇と逆行して深刻な人材(能力)不足に陥っています。

 これらの状況の中で、人材に関して考えると「IT関係特有の現象が出ている」と言えるかもしれません。過去はもてはやされたIT関係職の栄枯盛衰がまともに現れているようです。

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