[IT人材育成[戦略と実践]]

自社に必要な「タスク」と「スキル」を明確にする―IT人材育成[戦略と実践](4)

2013年12月24日(火)高橋 秀典(スキルスタンダード研究所 代表取締役)

今日の情報システムは企業を支え、ビジネスを戦略的に遂行するための武器でもあります。その構築・実現を担うIT人材の育成は、あらゆる企業にとっての最重要課題にほかなりません。本連載では、企業のITリーダー=IT戦略・情報システム責任者が、いかにしてIT人材育成・活用を推し進めていけばよいのかを掘り下げていきたいと思います。

 最近、ユーザー企業のCIOやIT部門長の方から、IT人材の育成に関する相談を受ける機会が増えました。経営トップが掲げる経営戦略をサポートするために、優秀なITスタッフ確保がいかに重要か、ユーザー企業の間でも強く認識されるようになってきた表れではないでしょうか。

 こうして経営者が人材についての重要性を話される一方で、具体策の推進に関しては思うようにいかない企業が多いのが現実です。ITの世界では「人材こそが資産」であるはずなのに、将来像や育成計画が思うように描けない――このことがますます浮き彫りになってきています。これでは企業の発展を妨げる要因になりかねません。今回は、IT人材育成のファーストステップとして、筆者が長年手がけるスキル標準を基にした、組織における「タスク」と「スキル」の明確化について解説します。

必要な「タスク」から必要な「スキル」を位置づける

 IT人材育成というテーマに取り組むにあたって最初になすべきなのは、IT部門・情報システム会社およびそのスタッフの「あるべき姿(To Be)」を描くことです。その際に重要なのは、いきなり「人材像」をイメージして、必要な「ITスキル」や「コンピテンシー」に着目するのではなく、まずはIT部門や情報システム会社に必要だと思われる「タスク(業務機能)」を考えてみるというアプローチを取ることです。

 つまり、自社のビジネスを支えるために、IT部門・情報システム会社が持つべきタスクをあらためて定義し、そのタスクを回していくために必要な要素として「スキル」を位置づけるという考え方です。

 
図 タスクとスキル

 こうしてタスク視点でTo Beをまとめておけば、「仕事を進めるうえで、どういったスキルが必要なのか」についての関係者のコンセンサスが得やすくなります。加えて、タスク設定の次の段階である「人材像」を考えたときに、その責任範囲をタスクレベルで明確化することや、持つべき「ITスキル」「コンピテンシー」で表すことも可能になります。

 
図 人材像の役割範囲の設定

 また、この作業によって、アウトソーシングすべきではないタスクと、アウトソーシングすべきタスク、つまりコアタスクと非コアタスクの切り分け、情報システム子会社とのタスク上での役割分担の明確化などにも活用できるようになります。

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