IBMメインフレームはクラウド、モバイルを取り込み、原子ストレージや量子コンピューティングを可能にする方向に進化する─。日本IBMは多数の顧客を招いて「System/360」の50周年の記念イベントを開催。メインフレームの将来性をアピールした。果たして、その中身はいかなるものだったのか。
「高密度化の限界に来ている磁気記録に代わり、原子ストレージは1バイトの情報を記録するのにわずか96個の鉄原子で済みます。光回路は今日のコンピュータの問題であるや発熱、ノイズの問題がありませんし、量子コンピューティングは今日のコンピュータに比べ10の40乗倍も速く、3000桁の数字でも因数分解できます。そして人間の脳を模したニューロ・シナプス・チップ(ブレイン・チップ)は自律的な学習が可能です。いずれも実用化はそう遠くありません。その時には真っ先にメインフレームに実装・適用していきます(写真1,2)。スケールアップを望む声に応えるためです」─。
写真1 次世代メインフレームの将来
写真2 ニューロシナプス・チップ。すでに試作されている
日本IBMが2014年4月10に都内で開催した、メインフレームの50周年を記念するイベント「IBM Mainframe 50」(写真3)。冒頭のコメントは、この場で米IBMでSystem zのテクニカルストラテジー担当副社長を務めるMark S.Anzani氏が、100人を超える来場者(ユーザー企業のITリーダー)を前に語ったものだ。なお50年周年とは、アーキテクチャを統一して様々な用途に汎用的に使える「System/360」が登場した1964年4月7日を起点とする。
写真3 IBM Mainframe 50の会場。100人を超えるITリーダーが集まった