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「最新ITでメインフレームはさらに進化する」System/360の50周年でIBMがアピール

2014年4月14日(月)田口 潤(IT Leaders編集部)

IBMメインフレームはクラウド、モバイルを取り込み、原子ストレージや量子コンピューティングを可能にする方向に進化する─。日本IBMは多数の顧客を招いて「System/360」の50周年の記念イベントを開催。メインフレームの将来性をアピールした。果たして、その中身はいかなるものだったのか。

クラウドファーストを実現する垂直統合機を発表

 それを目指して開発されたわけではないSystem zを「究極のオープンシステム」とか、「クラウドマシン」「モバイル対応」などと呼ぶのは(ある種のPRだとしても)違うのではと言いたくなるが、的外れとは言い難い面もある。というのもIBMは前日の4月9日、System zに関する新たな発表を行っていたからだ。

 発表の1つがSystem zをベースにハード、ソフトを垂直統合したIaaSの基盤、「IBM Enterprise Cloud System」。単一システムで最大6000に及ぶLinuxの仮想マシンをホストできる。ハード、ストレージ、管理ソフトなどを工場で組み合わせて出荷するので設置後、素早く稼働させることができる。使用量に応じて課金する新しい価格モデル「IBM MSP Utility Pricing for System z」 も発表した。名前から推察できる通り、サービス事業者向けを想定しており、x86ベースのクラウド基盤を構築・運用するのと比べて、TCOを最大55%削減できるという。将来はクラウドOSのOpenStackも稼働させる。

 もう1つが、モバイルコンピューティングや大規模データ処理ソフトのHadoop関連ソリューションである。前者は「IBM System z Solution for Mobile Computing」。メインフレームでモバイル処理向けのアプリケーションを稼働させる場合、ミドルウェアやシステム資源の利用料金が高価になる。そこで利用料金を中心にモバイル向けのアプリケーションを稼働させたときの料金を割安に設定した。「z/OS上のモバイル・ワークロード向けの新しい価格モデルであり、モバイルによる取引として扱われるプロセッサ容量を最大で60%削減する」(IBMのリリースより)。

 後者は、Hadoopのディストリビューションである「zDoop」の提供。zDoopは米Veristormが開発したもので、IBMはこれを「Hadoop for Linux on System z」という名称で提供する。このほかフラッシュストレージ「IBM DS8870」や、モバイル&クラウドのサポートを強化したCICSの新バージョン、軽量で起動が速い「WebSphere Application Server Liberty」のz/OS版である「IBM WebSphere Liberty z/OS Connect」、セキュリティ機能「IBM Security zSecure SSE」も発表した。“クラウドファースト”、“モバイルファースト”をSystem zでも、というわけである。

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IBM / System/360 / 量子コンピュータ / IBM z

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