今日の情報システムは企業を支え、ビジネスを戦略的に遂行するための武器でもあります。その構築・実現を担うIT人材の育成は、あらゆる企業にとっての最重要課題にほかなりません。本連載では、企業のITリーダー=IT戦略・情報システム責任者が、いかにしてIT人材育成・活用を推し進めていけばよいのかを掘り下げていきたいと思います。
いまだに経営層や人材育成の責任者の皆様からの質問が多いのは、ITスキルとコンピテンシー(ヒューマンスキル/コンセプチュアルスキル)の関係についてです。スキル標準(ITSS、UISS、ETSS)は、参照モデルであり部品ですから、人材像として組み立てるロジックが必要です。
仕事をするために必要な能力と、成果を出すための能力
スキルは、米ハーバード大学教授ロバート・カッツ氏が1955年に発表した「カッツモデル」の表現において、専門能力、ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキルの3つに分けられます(図1)。
図1:カッツモデルIT人材の場合、専門能力の主体がITスキルであり、スキル標準はこの定義を中心に構成されています。ただし、実際にはITスキルだけではなく、業務・業界系の知識や能力も必要であり、これらも専門能力の分野に分類できます。
また、これらの仕事をするための能力があっても、必ずしも成果を出せるとはかぎりません。仕事で成果を出すためには、これらの能力に加え、ヒューマンスキル/コンセプチュアルスキルが必須なことも言うまでもありません。
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