[技術解説]

2014年秋から東京リージョンで利用可能になった「Amazon AppStream」とは?

2014年10月23日(木)緒方 啓吾(IT Leaders編集部)

アマゾンデータサービスジャパンは2014年10月22日、アプリケーションストリーミングサービス「Amazon AppStream」の概要を紹介する報道関係者向け説明会を開催した。米アマゾンのアプリケーションサービス担当ディレクターのコリン・デービス氏がサービスの概要や事例を紹介した。

AppStreamが向かないアプリ、使用する上で考慮すべきこと

 もちろん、AppStreamが向かない分野もある。まず、AppStreamで配信するアプリケーションは、基本的にオフラインで利用できない。もし、オフラインでも利用したい場合は、アプリケーションのデータやロジックをローカルに保存する部分と、ストリーミング配信する部分に分割する必要がある。プログラムの改修が必要だ。

アマゾンが開発中のゲームではハイブリッドストリーミングを活用している写真:アマゾンが開発中のゲームの画面。ストリーミングとローカルでの処理を組み合わせる。具体的には、背景(画面の上から2/3)はストリーミング配信し、残りの部分をローカルで処理している
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 また、動作の遅延について敏感なアプリケーションはAppStreamに向かない。ネットワークを介して入出力するためだ。ユーザーからの入力も、操作の結果もネットワークを介してやり取りする。ローカルアプリと比べると、どうしてもタイムラグが発生する。AppStreamのWebサイトでは、一人称のシューティングゲームや、対戦型の格闘ゲームなど、遅延に対する許容度が極度に低いものは向かないとしている。

 また、利用に当たってユーザーが検討すべき課題もある。1つは、コストだ。料金はアプリケーションをストリーミングする時間に対して課せられる。東京リージョンの場合、1時間あたり1.2ドル。例えば、ユーザーAが45分30秒、ユーザーBが120分20秒利用した場合、ストリーミングの合計時間は165.50秒。つまり、2.29ドルが課金される。それだけのコストを許容できる用途である必要がある。

 もう1つの課題は、ストリーミングで発生するデータ通信だ。AppStreamは、アプリケーションを利用している間、常にデータ通信が発生している。自宅やオフィスで利用する場合はともかく、外出先でモバイルデバイスを使って利用する場合は、キャリアが設定するデータ通信量の上限を超えないよう注意する必要がある。

 新サービスだけに公開できる事例は今のところ少ないが、企業やアプリケーション開発者からの引き合いは多いとのこと。「今後、事例が増えるにしたがって、特にフィットする用途も明らかになってくるだろう。現時点では、3D CADデザインや、医療画像の共有、家電、アプリといった用途を想定している」(米Amazon.com, Inc. アプリケーションサービス担当ディレクターのコリン・デービス氏)。

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