日本ITCソリューション課長の佐々木に対し、山下塾の木元塾頭は「グローバルリーダー」について新たな定義を説明していた。従来の「語学ができて、専門的な実務を体得し、仕事ができる」という定義に加え、日本人の場合は、3つの要件が加わるという。その1つが、「リベラルアーツを修得して大局的なものの考え方と視点を学ぶ」である。だが、佐々木には「リベラルアーツ」の具体像が浮かんでいなかった。
「塾頭、そのリベラルアーツとはどういうものなのでしょうか?」
この佐々木の問いかけに対し、木元塾長は解説し始めた。
「日本人は毎日、専門的な仕事に専念せざるを得ない環境にあります。ですので、リベラルアーツとして、実践的な知識や学問を習得する機会もないし、そうしたことを教育している機関もありません。
実践的な知識や学問を“一般教養”として勉強するという意味は、知識だけでなく、世界の様々な事象の是非を考える習慣をつけるということです。ですが、日本の報道機関は正しい情報をさらに選別して報道しているので、日本人は新聞やテレビで目にする情報に疑問を感じたり、否定したりする習慣がありません。世界の報道は日本の報道とは全く異なっていて、かなり曖昧な情報とか、アルカイダからの投稿まで報道していますよ。
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