日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)は2015年4月15日、「ソフトウェアメトリックス調査2015」の概要を発表した。今回は、開発生産性を高めるものとして関心が高まっている、アジャイルと超高速開発のアプローチについて、その実態を明らかにする試みをしているのが特徴だ。
Agile、xRADとも採用目的の過半が「既存再構築」
こうした疑問は、JUASがまとめたソフトウェアメトリックス調査を紐解くとある程度解消する。まず挙げられるのが、一口に3手法の比較分析といっても決して簡単ではないことだ。特にAgileとxRADの実施例、それも工期や工数を把握できるプロジェクトは件数自体が多くない。ユーザー企業へのアンケート調査で収集できるのがJUASの強みだが、2015年版の回答件数はAgileが22、xRADが50に留まった。これに2006年頃から継続的に収集してきたWF、Agileのデータを加味し、分析の母集団としている。
その前提で今回の分析の母集団になったデータの定性的な側面をチェックすると、プロジェクトの目的はAgile、xRADともに「既存システムの再構築」が過半数を占める(図2)。既存の業務プロセスやデータが存在するだけにxRADに有利である一方、Agileの特性が生きるはずの「新業務の支援」のようなプロジェクトは少なかったのだ。既存の業務システムを指す「Systems of Record(SoR)」、モバイルやビッグデータを駆使する新しいシステムを意味する「Systems of Engagement(SoE)」で言えば、SoRに適するxRAD、SoEに向くAgileのはずだが、SoRへの適用で比較したと言える。

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各手法の採用理由もそれを示している(図3)。Agileの採用理由のトップ3は「工期短縮」(67.86%)、「コスト削減」(46.43%)、そして「要件抽出が困難」(32.14%)の順である(実際には「その他」に次ぐ4番め)。アジャイルが向くとされる「要件抽出が困難」という理由が低いので、結果もAgileには不利になるのは仕方ないだろう。対してxRADは「コスト削減」(92.31%)、「工期短縮」(85.71%)。xRADの特徴にズバリはまる。

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