[市場動向]

経営層に“デジタルビジネス”の教育を!CeFILが専門機関設立へ、経産省などが支援

2015年6月11日(木)田口 潤(IT Leaders編集部)

デジタルビジネスを研究し、企業の経営幹部に対し、その実践知やスキル、ノウハウを伝えるための研究・教育機関を作る構想が進んでいる。大手企業や、経済産業省などの行政機関、ITに関心の深い政治家などが賛同し、2016年春にも活動を開始する見通しだ。背景には現状に対する強い危機感がある。設立に向けたシンポジウムが7月6日に開かれる

 翻って日本はどうか?最新の情報処理実態調査の結果から明らかな通り、残念ながらデジタルビジネスへの意識は低いのが実情だ。2年前にJEITA(電子情報技術産業協会)が実施した調査は、何よりもそのことを明確に物語っている。以前の記事と重複するが、日米の経営マネジメント層など非IT関係者に「ITに対する期待」を聞いた結果を再掲しよう(図2)。

図2:JEITAの日米比較図2:JEITAの日米比較
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 「ITによる製品/サービスの開発強化」「ITによる製品/サービスの開発強化」「ITを活用したビジネスモデル変革」といったデジタルビジネスに直結する回答に注目していただきたい。日米の差は小さいとは言えない。たとえCIOや情報システム責任者が問題意識を持ち何かしようと頑張ったところで、こんな状況では”孤軍奮闘”に陥るのが関の山である。

「デジタル・ビジネス研究所(仮称)」を設置へ

 そこで、経団連(日本経済団体連合会)が主導し有志企業11社が設立した高度情報通信人材育成支援センター(略称CeFIL、横塚裕志理事長)は、専門の研究・教育機関「デジタル・ビジネス研究所(仮称)」を設置する構想を進めている。

図3:Cefilの教育内容図3:Cefilの教育内容
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 骨子は次のようなものだ。先端ITの技術動向や利用動向、先進企業の取り組み、統計情報といったデジタルビジネスに関する情報を収集・分析。それを元にCXOなど企業の経営幹部向けに教育研修を提供したり、次世代リーダーを育成したりする(図3)。

 CeFILの横塚理事長は、「海外視察などを通じてデジタルビジネスの脅威を肌身で感じている。そんな中で、日本に専門研究機関やリーダー人材を育成する機関がないことに強い危機感を持った」と動機を語る。

 育成や教育には、シンガポール経営大学(SMU)や、リーダー人材開発専門の研究機関である同Human Capital Leadership Institute(HCLI)と提携する。SMUやHCLIはアジアの有力企業や欧州・日本企業のための経営幹部研修やリーダー人材開発に高い実績とノウハウを有する機関だからだ。ここから旧来型の教育研修とは一線を画したいという、デジタルビジネス研究所の狙いが見えてくる。

 問題は運営資金。詰めはこれからだが、会員企業による会費を中心にしつつ、国からの補助も得る計画である。先行的に打診した企業からは好感触を得ているという。それに向けて7月6日には、東京・平河町で「デジタルビジネス・シンポジウム2015」を開催する。コニカミノルタの山名昌衡社長による基調講演のほか、SMU/HCLIによる講演やパネルディスカッションを予定する。

 実のところ、今回の構想には前段がある。デジタルビジネスという言葉が登場する以前の2000年代半ば、経営とITの両方に精通した人材がいないことへの危機感が高まった。当時、経団連(の人材部会)が呼びかけ、内閣府や総務省、経済産業省、文部科学省が同じテーブルに付いて高度IT人材育成に向けた議論を繰り返した。

 その準備機関として2009年に設置されたのがCeFILだ。経営とITを育成する大学院大学を新たに設置する寸前までいったが、主に資金面の問題から、準備機関の設置に留まった経緯がある。

 デジタル化の進展に伴い、当時よりも切迫感は高まっている。7年の時を経てハイレベル人材育成に向けた動きを現実にできるのか、日本の本気度が試されている。

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