デジタルビジネスを研究し、企業の経営幹部に対し、その実践知やスキル、ノウハウを伝えるための研究・教育機関を作る構想が進んでいる。大手企業や、経済産業省などの行政機関、ITに関心の深い政治家などが賛同し、2016年春にも活動を開始する見通しだ。背景には現状に対する強い危機感がある。設立に向けたシンポジウムが7月6日に開かれる
読者は「デジタルビジネス(Digital Business)」の意味をご存じだろうか?単にデジタル技術(IT)をビジネスに活かすことではない。Webで情報や商品、サービスを提供することでもないし、製品やサービスをデジタル化するIoTのことでもない。
では何を意味するのか?米ガートナーの著名アナリストであるJorge Lopez氏の米Forbes誌への寄稿によると、次のような定義である。
「デジタル世界と物理世界の境界を取り払うことで、新しいビジネスのデザインを創造すること。人、ビジネス、モノをこれまでとは異なる形で融合させ、インターネット黎明期やeビジネス時代に生まれたものも含めて既存のビジネスモデルはDisrupt(破壊、混乱)される」
Disruptされる業種や業態、企業に例外はない。ネットビジネスの影響を受ける小売りなど流通サービスはもとより、製造、金融、エネルギー、さらには農業や酪農などの1次産業、行政機関など、ほぼすべてに及ぶ。
企業内の業務についても同様だ。サプライチェーン、ファイナンス、HR(Human Resource:人事・人材)など、あらゆる面で従来の情報化とは異なる変革が進む。「Software Defined Business」「Software is eating the World」など、これまでに本誌が取り上げてきた表現は、決して大げさではない(図1)。
図1:デジタルビジネスの脅威の例拡大画像表示
そんな中、「デジタルビジネスの波に乗り遅れるな」とばかり、世界各国でリーダー人材を育成する取り組みが始まっている。例えば米マサチューセッツ工科大学(MIT)は「the MIT Center for Digital Business」を設置している。米GM(General Motors)や米P&G(The Procter & Gamble Company)、米Cisco Systems、仏Capgeminiなど20社以上が資金や研究リソースをサポートし、デジタルビジネスの研究や人材育成に取り組む。
英国には、その名もズバリ「Digital Business Academy」というオンラインの教育コースがある。英政府機関である職業技能省(Department for Business Innovation & Skills)などが資金支援する非営利の団体、Tech Cityが運営にあたる。現在、デジタルビジネスの実践に必要なファイアンスや製品開発など8つの教育コースを提供している。
オーストラリア政府も取り組みを急ぐ。「Get your business online 」をキャッチフレーズにした「digitalbusiness.gov」というサイトを運営。Webサイトの作り方やマーケティングのあり方といった基本から、政府の支援策、中小企業の取り組み事例、情報セキュリティや法律のノウハウなど、様々な情報を提供する。
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