本格的なIoT(Internet of Things)時代を迎えた今、多くの企業の間で情報活用に対する新たなニーズが高まりつつある。アシストの花井正樹氏は、経営陣やビジネス現場のアクションに直結する「データ・イネーブルメント」の重要性について訴えると共に、同社が提供を始めたQlik Senseの特徴を解説した。
IoT(Internet of Things)、さらにはIoE(Internet of Everything)──。昨今のテクノロジーの進化は、すべてのモノやコトがインターネットにつながる時代が着実に近づいていることを感じさせる。事実、ネットに接続されるデバイスの数は加速度的に増加している。シスコの報告によると、その数は、東京オリンピックが開催される2020年までに約500億個に達するという。当然、デジタルデータも爆発的に拡大しつつあり、世界中のデータ総量は、2015年までに7.9ゼタバイト(1ゼタは1ペタの100万倍)に達すると予想されている。
このようなデータ爆発の時代にあって、企業の情報活用の現状はどうなっているのか。企業内で、BI(Business Intelligence)などの本格的な分析環境にアクセスできるユーザーは2割程度にとどまっているという。また、一般的なBIシステムの場合、プロジェクトの展開にかかる期間は業界平均で18カ月、1レポートの作成に要する期間は6.3週間に及んでいる。
企業内の情報活用の現状について、アシストの花井正樹氏は「多くの企業では、パワフルな分析機能へアクセスできるユーザーは限られており、分析結果にたどりつくまでに膨大な時間を要するなど、いくつかの課題を抱えています」と指摘する。
その一方で、花井氏は、「ここ数年で、企業の情報活用の潮目が変わってきているのも事実です」と付け加える。その1つは、IT部門が主導して構築を進める従来型のエンタープライズBIシステムだけでなく、ユーザー部門が主導して構築を進めるデータ・ディスカバリのプロジェクトが増加してきていること。もう1つは、スタンドアロン型でPCにインストールして簡単に利用できるセルフサービス型のBIツールやビジュアライゼーション・ツールの活用が進んできていることだ。
しかし、データ・ディスカバリやセルフサービスBIの台頭によって新たな課題も生まれている。それは、例えばスプレッドシートやセルフサービスBIに展開するデータが、必ずしも信頼できるものとは限らないということだ。花井氏は、「ビジネス・パーソンがスプレッドシートなどで作成するレポートや資料には20~40%の割合で誤りが含まれていると言われています」と警鐘を鳴らす。
こうした課題を解決するためには、これまでのデータの流れに沿ったアプローチだけではなく、現場の課題解決を目的として、データストア技術などを駆使したアプローチが必要になる。同氏は、「ビジネス現場が、容易にデータ探索・分析を行って戦略的なアクションを起こすことができる“データ・イネーブル”な環境を整備する必要がある」と強調する。
連想技術を駆使したデータ分析基盤により
ビジネス現場は迅速なアクションが可能に
では、現場のユーザーにデータ・イネーブルな環境を提供するためにはどうしたらよいのか。これまで説明してきたように、既存のBIシステムが抱える課題の多くは、IT部門がビジネス現場のニーズに適切に応えられなかったことに起因して発生する。「どうすればIT部門がビジネス現場のニーズに応えられるかを強く意識しなければなりません」(花井氏)。
まず、データ分析に関するニーズでは、信頼できるデータに基づいて短期間で現場のアクションにつなげられるようにする必要がある。また、情報ガバナンスに関するニーズでは、集中管理と統制を効かせながら、制約の少ない俊敏な分析環境を提供しなければならない。さらに、テクノロジーに関するニーズでは、さまざまなデバイスに対応できる基盤づくりに着目する必要がある。
データ・イネーブルな環境は、次の3つの視点に基いて構築に取り組む必要がある。まず、個人に焦点を当て、セルフサービス型の可視化と探索を可能にすること。そのうえで、グループでナレッジや洞察を共有できるようにすること。そして、組織全体で利用できるようにパフォーマンスの実現性と運用・セキュリティ設計を行う必要があるということだ。
アシストでは、データ・イネーブルな環境を実現する次世代のセルフサービス型データ分析プラットフォームとして、今年から「Qlik Sense」の提供を開始している。同ツールは、エンドユーザーが手軽に分析アプリケーションを作成することが可能で、これらのアプリケーションを使って、インタラクティブな分析を行うことができる。
Qlik Senseを活用することによってビジネス現場とIT部門はどのような効果を獲得できるのか。花井氏は、「ビジネス現場は、信頼できるさまざまなデータソースからデータを収集し、迅速なアクションが可能になる。また、IT部門はガバナンスと俊敏性を両立し、戦略や事業立案・遂行に貢献することができるのです」と強調。実務に求められるツールを今すぐ選定していくことの重要性を訴えて、講演を締めくくった。
●お問い合わせ先
株式会社アシスト
URL:http://www.ashisuto.co.jp/
TEL:03-5276-3653
E-mail:qlik@ashisuto.co.jp
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