日本データマネジメント・コンソーシアム(JDMC)は2015年3月12日、年次イベント「データマネジメント2015」を都内の目黒雅叙園(目黒区)で開催した。今回のテーマは「データがビジネスを駆動する」。ソーシャル、モバイル、ビッグデータ、クラウドなど様々なテクノロジーが同時並行的に進化する今、その中核にあり、すべての活動の起点となる「データマネジメント」のあり方について、熱い議論が交わされた。
日本データマネジメント・コンソーシアム(JDMC)が主催する年に1回の大規模カンファレンスは、今年で4回目を迎えた。毎年、徐々に来場者が増えてきたが、今回は1350人以上(前回は約1000人)の申し込みがあり会場は大盛況。それだけ、データ活用に対する企業の関心が高まっているとも言えるだろう。
当日は、ユーザー企業による先駆的な取り組みの講演や、ベンダーによる最新ソリューションの紹介など、多彩なセッションが組まれた。早々に満席となるケースも目立ち、プログラムを片手に熱心に会場を巡る来場者の姿が印象的だった。
そうした中でも、とりわけ多くの聴講者が駆けつけたのが午前に行われた2つの基調講演である。最初に登壇したのは、日産自動車のCIOを務める行徳セルソ氏。グローバルIS/IT戦略に位置付ける「VITESSE」の詳細を自ら語るとあって、会場は熱気に包まれた。同氏は、ビジネス上の具体的なKPI(業績指標)を挙げながら、それを支えるためのビジネスプロセスやプラットフォームのあり方、それらと密接に絡むデータのハンドリングなどについて語り、価値創造に貢献するIT部門の姿を会場に提示した。
続いて、日本放送協会のディレクター、阿部博史氏が講演台に立った。NHKスペシャル「震災ビッグデータ」シリーズの制作において、携帯電話の位置情報や車輌のプローブデータ、ツイッターや購買記録などを分析し、独自に開発した可視化システムを使って映像化したキーパーソンである。会場に持ち込んだノートPCを使って、スクリーン上に各種のデータをビジュアルに表示。様々な視点で実際に可視化してみることが、新しい気付きに結び付くことを強調した。興味深い映像と解説に、50分があっという間に経過した。
今回のイベントは、例年にも増して、ユーザー事例講演が充実していたのも特徴である。製造、金融、流通、サービスなど様々な業種の企業/団体の実務担当者が、先駆的な取り組みを紹介。多くが、単なるデータマネジメントの枠を越え、データに基づいて速やかにアクションを起こす「データドリブン経営」の実践について示唆に富む内容を語りかけた。データを縦横無尽に使う仕組みを整えるのみならず、現場担当者の問題意識や熱意といったものが不可欠であることを強く印象づけた。
データドリブンを形にする最新ソリューション
データをビジネス価値に結び付けるためには、それを支える最新テクノロジーに理解を深めることも欠かせない。社内に様々な形で散在するデータの整理統合、それらから知見を獲得するための分析や可視化…。一筋縄ではいかない一連の業務をスムーズに進めるためのソリューションを解説するセッションは総じて活況だった。
特にここのところは、IoT(モノのインターネット)を筆頭に、今後激増すると見込まれる多種多様なデータをいかに効率よくハンドリングするかといったことに関心が高まっている。「データがビジネスを駆動する」──イベントのタイトルにもある通り、それを具現化するための解を、今、多くが求めている。各セッションの終了後、来場者が会場に残って講演者に個別の質問を投げかける姿も目立ち、それぞれが実務に直結する多くのヒントを持ち帰ったようだ。
データの巧みな利活用に軸足を置いて市場展開をしている主要ベンダーは今、ユーザーの課題を解決するために、どのような製品ポートフォリオを揃えているのか。また、キーメッセージは何なのか。以下に、各社の当日のセッションの内容をとりまとめている。IT業界の中でも、とりわけホットな領域の動きをつかむためにも、是非、参照してほしい。
●アグラ
データ開発おまかせください!
複雑なデータ問題からユーザー様を解放します
●アシスト
現場のアクションにつながる
データ・イネーブルメントとは?
●Yellowfin Japan
今、BIに何が求められているのか?
~独立系BIベンダーが考える現在、そして未来~
●インフォテリア
クラウド時代に必須、マルチプラットフォーム環境に対応する
データ連携基盤構築のポイントとは?
●インフォマティカ・ジャパン
データを経営資源に転換するデータマネジメント
攻めと守りの3つのアプローチ
●クラウディアン
次世代ストレージでビッグデータを
知性ある「スマートデータ」に
●SAS Institute Japan
アナリティクスのためのデータマネジメント
~データ分析からビジネス価値を生み出すために~
●Talend
「データドリブン経営」の実践に向け
ビッグデータ効果的活用のポイント
●日本テラデータ
データ駆動型経営を実現する
データマネージメント”エコシステム”
●富士通
データサイエンティストはもう要らない!?
現場担当者自らがビッグデータ活用を実践
●リアライズ
データ管理を企業に根付かせる!
そのためのデータマネジメント推進部隊とは?
- オールインワンのデータ活用プラットフォームでデータマネジメントとアナリティクスを一気通貫で支援する(2015/06/22)
- データ駆動型経営の実現に求められるヒトの理解とデータマネジメントエコシステム(2015/06/22)
- 非構造化データの爆発的な増加に備え広域・分散ストレージ基盤の構築を(2015/06/22)
- 「データ・イネーブル」な基盤を確立し現場の戦略的アクションを可能に(2015/06/22)
- 「BIを簡単に」を究めた先に全社の気付きが集約される場が生まれる(2015/06/22)