クラウドの普及に伴い、エンドユーザーはセルフサービスの便利さに慣れ、IT部門にITインフラの調達・設定を頼み、数カ月後に、やっと利用できるという状況には満足できなくなっていきます。結果、社員が個人契約したクラウドサービスを利用し始めるBYOC(Bring Your Own Cloud)による情報の外部流出に伴うリスクが懸念されます。正しい利用法を教育し、監視・規制することも重要ですが、それよりもクラウドと同等のセルフサービスに対応することが本質的な解決策です。
ITインフラにおけるセルフサービス(Self service)の定義:
エンドユーザーや管理者が、サービスポータルから必要なコンピューティングやストレージ、ネットワークのリソースを選び、それらを組み合わせて即時に利用をできること、および、それを実現するための仕組み
仮想化と自動化が可能にするセルフサービス
第2回でクラウドを卵にたとえ、白身(外)が仮想化で、黄身(中)が分散処理だと説明しました。セルフサービスと、第6回で紹介するAPI(Application Programming Interface)は、卵の殻の部分に相当します。セルフサービスのお陰でクラウドは、便利に扱えます。このセルフサービスを提供するために重要な役割を果たしているのが、仮想化と自動化です。
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仮想化は、CPU、メモリー、ストレージ、ネットワークというリソース(資源)をメニュー化するために必要です。物理装置を使って、これらのメニューを提供しようとすれば、様々な性能と容量の機種を用意し、かつ装置の在庫も考慮しなければなりません。ITインフラの物理リソースを仮想リソース化することで、エンドユーザーが選択しやすいメニューを柔軟に提供できます(図1)。
自動化は、セルフサービスメニューから選択された仮想リソースのプロビジョニングのために必要です。エンドユーザーからの申し込みを受け、人手で仮想マシンを準備しているようでは、迅速なサービス提供はできません。容量を増減する際には、自動的かつ弾力的に拡張できることも求められます。エンドユーザーから要求があった場合や障害時などに、必要な分だけ、コンピュータリソースを動的に別のシステムに割り当てる必要もあります。
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