米デル(Dell)が2015年10月12日(米国時間)に、米EMCを買収することで基本合意に達したと発表した。買収金額は1株当たり約33.15ドル、総額は約670億円(約8兆円)に上りIT業界では過去最大規模になる。非公開企業であるデルによる買収により、サーバーからクライアントまでハード/ソフトをエンドツーエンドで提供する巨大企業が誕生することになる。
米EMCを買収するのは、米Dellと、同社の創業者であり現在の会長兼CEOのMichel Dell(マイケル・デル)氏、およびMSD PartnersとSilverLakeの両投資会社の企業連合。1株あたり約33.15ドルで買収する。
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24.05ドルの現金と、EMCの子会社である米VMwareのTracking Stock(業績連動株)で支払われ、総額は約670億ドル(約8兆円)になると見込まれる。ただし、EMCは今後60日間、他社から、これを上回る条件の買収提案を募る。
買収完了はDellの2016年度(3月期)第2四半期または第3四半期を予定する。新会社のトップにはDell氏が就任する。買収完了まではEMCの会長兼CEOのJoe Tucci(ジョー・トゥッチー)氏が現職を務める。EMC傘下のVMwareやPivotal、RSA、VCEなども基本、現経営陣が牽引するとしており、VMwareは株式公開企業として運営する。
買収に参加するSilverLakeは、Dell氏がDellを250億ドルでMBO(Management Buy out:経営陣が参加する買収)し非公開化した際の投資会社でもある。DellがEMCを買収することで、ハードウェアではサーバーからストレージ、PC/タブレットまで、ソフトウェアではPaaS(Platform as a Service)/IaaS(Infrastructure as a Service)からストレージ管理、セキュリティーまで、エンドツーエンドをカバーする巨大な非公開のIT企業が誕生する。
非公開企業であることのメリットについてDell氏は、発表に併せて公開した顧客向け書簡の中で、「将来への投資、一貫した技術戦略の追求、イノベーションの加速、意思決定の合理化と面倒なプロセスの排除のそれぞれに自由がある。そして100%顧客指向であり、それこそが我々のモチベーションとなるための自由がある」としている。
一方のTucci氏は、「今回の発表は苦くて甘いもの」としたうえで「ストレージベンチャーとしての起業から7万人以上を擁する企業にまで成長した。この25年間は素晴らしい時期だった。しかし、現在のIT業界は破壊的な時期にあり、今後の成長に向けては大きく変わらなければならない。DellとEMCにより生まれる新会社は、今後の成長分野におけるリーダーになる」とコメントしている。
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