[CX(Customer Experience)デザインの基礎知識]
CXをデザインするためのダブルダイヤモンドとは【第3回】
2016年6月27日(月)飯塚 純也(ジェネシス・ジャパン コンサルティング本部 本部長 サービスデザイナー)
顧客体験を最適化するためのCX(カスタマーエクスペリエンス)デザイン。第1回では経営課題としてのCXデザインの重要性について、第2回ではCXを設計するサービスデザインの手法と考え方について、それぞれ解説しました。今回からは、顧客の期待値を上回る体験を提供するためのサービスデザインの実践方法を紹介していきます。
第1回と第2回では、CX(Customer Experience:顧客体験)は経営課題であると同時に、個別最適な取り組みを足し合わせても全体最適なCXは実現できないことを説明してきました。そして全体最適を図ったCXのデザインには顧客視点が不可欠だとも指摘しました。これらの課題を解決するための考え方がサービスデザインのフレームワークです。ジェネシスが、オムニチャネルのCXデザインのために用意する設計手法「WoWメソッド」も、このサービスデザインの考え方を踏襲しています。
サービスデザインの特徴の1つが「ダブルダイヤモンド」と呼ぶフレームワークにあります。図1のように、左側から2つのダイヤモンドを描くように“拡散と収束”を繰り返しながら、課題を特定し解決策を模索・策定します。英国政府のデザイン振興機関のデザインカウンシルが2005年に提唱したもので、多くの企業がこのフレームワークを使ってサービスのデザインに取り組んでいます(参考文献)。
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2つのダイヤモンドを短いサイクルで繰り返し最適化を図る
CXデザインにおいて、左側のダイヤモンドは「アセスメント」の役割を担っており、課題の「Discover(発見)」と「Define(定義)」を実施します。調査から課題を発見する「拡散」のフェーズと、拡散した考えを絞り込んでインサイト(洞察)を得る「収束」のフェーズを経て、改善ポイントとなる課題を特定します。WoWでは「CX Research」と呼んでいます。
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