[ザ・プロジェクト]
クラウドシステム「雲の宇宙船」でスマートエネルギー改革に挑む─日本瓦斯
2016年11月18日(金)佃 均(ITジャーナリスト)
日本瓦斯(ニチガス:証券番号8174/東証1部)は主要業務をクラウドに移行して、対2005年指数で契約件数が約1.8倍に増えたにもかかわらず、販売管理費は1.4~1.5倍。「その差が収益につながっている」と和田眞治社長が言う通り、ここ数年、過去最高益を出し続けている。ガスというライフラインの安心・安全を維持しつつ、顧客サービスの質を上げ、同時に社員のワークスタイルを変えていく。ニチガスはこの難問にどう挑んだのか。
ビットコインで決済可能に
ニチガスの本社住所は東京都渋谷区代々木。しかし初めて訪問する者には、東京・初台といった方が分かりが早い。都内屈指のコンサートホールを擁する東京オペラシティから新宿方向に徒歩5分だ。1階のエントランスホールに入ると、マスコット「ニチガスちゃん」の脇に、見かけない装置が置かれている。ディスプレーには「ビットコインを購入しよう!」の文字。ビットコインATMだ。
「国内にまだ数台。オランダから持ってきて8月に設置したばかりです」和田眞治社長は言う。この10月からガス料金・ガス器具の支払いにビットコインを導入したことに対応したものだ。
「ビットコイン決済が10月21日、その3日後にスマホで支払い口座やクレジットが登録できるサービスもスタートさせました。これまでの書類とハンコの手続きを無くしていく。それがITの真価ですよ」
具体的にはニチガスの営業担当者が業務用のスマホ端末で請求管理システムに契約者番号などの情報を登録する。表示されるQRコードを契約者がスマホで読み取ると、EメールかSNSでURLが届く。それに従って契約者自身が口座情報やクレジットカードの情報を登録する。ニチガスの営業担当が個人情報に接触しないで済むし、契約者は口座確認のための銀行印を用意しなくていい。
システムは東京・西新宿に本社を置くペイデザイン(宮田知社長)の決済プラットフォームを使っている。決済が完了した時点で、ペイデザインからニチガスに通知が来る。これによって金融機関を通じた振込みやクレジットカードによる決済の手数料が軽減する。
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