中国メディア各社の報道から、IT関連の最新動向を紹介する「中国電脳事情」。1カ月間に報じられた主要なニュースから重要なものをピックアップしてお伝えする。
2017年は「VRの大成長年」に――中国工業・情報化省調査
―中国証券網(2017年7月7日)
中国工業・情報化省の電子情報司(日本の局に相当)副司長の呉勝武氏は、2017年7月3日に専門の調査チームを引き連れて上海市を訪れ、VR(Virtual Reality)産業の成長状況に関する調査を行った。
調査チームは、上海科学技術大学のVR・視覚コンピューティングセンターを視察し、内環視光場の撮影システムや、360度パノラマ3D動画ライブ配信システム、およびリアルタイム3D収集モニタリングシステムなどのVR技術の研究と応用について説明を受けた。
今後、同省電子情報司はVR産業の未来設計を明確化し、中心的技術の研究開発をサポートしながら、商品供給の最適化や新たな標準体系の設定を加速させていくという。呉氏は「中国のVR産業の健全かつ秩序ある成長を推進する」と語った。
2016年は中国でも「VR元年」と呼ばれた。2017年は「VRコンテンツの大成長年」と呼ばれているという。ただ、VRはまだ成長の初期段階であり、産業化には標準化作業が欠かせないうえ、国際的にもまだ強制力のある業界基準などが設定されていない。ただ、VRの業界基準には、通信分野などの基準に見られる強い排他性はないので、中国が独自に標準化を実現しても、すでにある国際的な企業標準と融合した成長が望まれる。
市場調査会社サイディーの顧問の1人は、「2020年には、中国のVR市場規模は1000億元に到達するだろう。2016年のVR急成長の際に、中国のVR製品の出荷数は30万台ですでに米国に次いで世界2位であった」とコメントした。
すでに多くの他業種からもVRへの業界参入を目指す動きがあり、株式市場ではすでにバブル化する予兆が見られる。関連企業としては、Crystal Optech(水晶光電)、GOSUNCN(高新興)、Firstar Panel(星星科技)、O-film(欧非光)などが注目を集めている。
中国工業・情報化省、国内メーカーにAndroidプッシュ通知の標準化を働きかける
―運営商世界網(2017年7月23日)
中国工業・情報化省傘下の中国情報通信研究院 中国電気通信技術実験室(CTTL)が中国のメーカーと連携して、「Android統一サーバープッシュ連盟」を設立する。中国で問題となっているAndroidアプリのプッシュ通知が乱発している状態の改善が目的という。
CTTLによると、現在募集しているのはAndroidのエコシステムに属する産業関係者や通信事業者、機器メーカー。同連盟を通じて、共同で中国のAndroid産業の成長とエコシステム最適化へ向けた取り組みを行うとしている。
現在、中国国内のAndroidを巡るエコシステムは非常に混乱している。各アプリはそれぞれ独自にバックグラウンド通信を設定しているので、アプリごとのプッシュ通知の時間が異なり、端末が常にプッシュ通知に見舞われ、電池やメモリーの異常消耗を引き起こす問題が多発しているという。連盟は、各アプリのサーバープッシュを統一化(標準化)し、端末の負担軽減と開発者のコストダウンにつなげることを目指すという。
現在までに、ファーウェイ、OPPO、vivo、シャオミ(小米)、韓国サムソン、Meizu(魅族)、GIONEE(金立)、nubia、グーグル、バイドゥ(百度)、アリババ(阿里巴巴)、テンセント(騰訊)、GeTui(個推)、JPush(極光推送)などの企業が同連盟への参加を表明している。
将来、中国国内でAndroidサーバープッシュの統一化が実現されれば、バックグランド通信で情報を受信した際、個別の通知アプリを起動する必要がなくなる。ある開発者の話では、そのシステムはiOSの通知機能よく似たものになるという。
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