マイクロサービス、RPA、デジタルツイン、AMP..。数え切れないほどの新しい思想やアーキテクチャ、技術等々に関するIT用語が、生まれては消え、またときに息を吹き返しています。メディア露出が増えれば何となくわかっているような気になって、でも実はモヤッとしていて、美味しそうな圏外なようなキーワードたちの数々を、「それってウチに影響あるんだっけ?」という視点で、分解していきたいと思います。今回は、古くからある「ビーコン」をあらためて取り上げます。
【用語】ビーコン
ビーコン(Beacon)は狼煙(のろし)の意味で幅広く使われてきた用語で、無線で信号を発する標識を指します。古くは電波で登山者の位置を特定する雪崩ビーコンが知られていますが、LINEを使っている方なら、最近ですと、「LINE Beacon」の通知を目にされたのではないでしょうか。
いまビーコンがあらためて「熱い」理由は、Bluetooth Low Energy(BLE)を活用した省電力通信により、数センチ~数10センチ単位のピンポイントで端末の位置情報を特定できる点。専用ビーコン端末は遭難者救助や高齢者等の見守りサービスに活用されてきましたが、2013年にiOSがiBeaconを、2015年にAndroidがEddystoneを投入してスマートフォンがビーコン端末として機能するようになり、市中のビーコンが一気に急増。双方向コミュニケーションも可能になり、じわじわと導入が加速しています。
東京電力と府中市、ottaによる「tepcotta」では子どもや高齢者が持つホイッスル型ビーコンで位置情報を把握した見守りサービスを展開したり、東京メトロ、LINE、大日本印刷による「&HAND」プロジェクトでは座席の必要な乗客のスマートフォンが発するビーコン信号を同一車内サポーターのスマートフォンに発信して譲り合いを推進したりと、比較的小さなエリア内でのピンポイントなコミュニケーションを円滑にします。
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【イノベーション】シェアリングエコノミーや仮想化にも
現在主流のBLEビーコンは、受信機を細かく配置してビーコン端末が発する信号を受信することにより、ユーザーやモノの位置を正確に把握するのが基本的な仕組みです。ビーコン端末が発する信号の強度に基づき、ビーコンと受信機間の距離を計測します。ビーコン端末がスマートフォンの場合は、位置に応じた情報発信やユーザーの移動速度や向きといったデータも取得可能で、屋内の道案内などに使われます。
●Next:想像以上に広い、ビーコンの適用分野
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