「さまざまなテクノロジーが登場する中で、テクノロジーのインパクトに注目することが大切だ」──米VMwareのシニアバイスプレジデントでCTO(最高技術責任者)のレイ・オファレル(Ray O'Farrell)氏は2019年7月4日、都内で説明会を開き、企業の情報システム担当者が注目すべきテクノロジーについて解説した。
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ヴイエムウェア(VMware)の米国本社でシニアバイスプレジデント/CTOを務めるレイ・オファレル(Ray O'Farrell)氏(写真1)。同氏は、数あるテクノロジーの中から、2019年の現在において企業への影響力が強いテクノロジー領域を4つ挙げた。(1)エッジ/IoT、(2)クラウド、(3)AI/マシンラーニング(機械学習)、(4)モバイル、である。
さらに、将来に向けて徐々に取り組みを始めるべき新興テクノロジーとして、量子コンピューティングを挙げ、企業の情報システム担当者は、これらのテクノロジ領域に注目すべきだとした。
影響力が強い4つのテクノロジーのうち、エッジ/IoT領域の代表的なユースケースが、コネクテッドカーである。IoTセンサーデータの監視と可視化だけでなく、データを利用した制御の自動化や、複数のデバイスが相互につながってデータを共有することで洞察を獲得、といった使い方ができる。
「例えば、ある信号が、あと4秒で赤から青に変わるといった情報を、すべてのデバイス(コネクテッドカーなど)で共有することで、新しい交通のあり方が生まれる」とオファレル氏は一例を挙げた。
一方、今後ビジネスへの影響が大きくなる新興テクノロジーとしてオファレル氏は、量子ビット型の量子コンピューティングを挙げる。実用化は目前に迫っており、身近な例では暗号化への影響が大きい(図1)。
オファレル氏は、「量子コンピューティング時代にも生き残るソフトウェアを実現しなければならない。2000量子ビットが実用化される2025年あたりまでに対策を実装が必要だ」と警鐘を鳴らす。暗号鍵の場合は、鍵長を増やすなど、何らかの対応が必要になる。
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米VMware自身も、量子コンピュータに対応するための取り組みを進めている。現状は調査の段階にあるが、2025年に向けて、量子コンピューティングへの対応をソフトウェアに実装していくとしている。