業務の電子化が始まった頃から言われてきた「ペーパーレス」。デジタルトランスフォーメーションが叫ばれる時代でも課題であり続けているのはなぜなのか。改めて考えてみる。
ビジネス相談を仕事にしていると、いろいろな案件が舞い込む。資金の調達、特定の顧客へのアプローチの依頼、新商品の評価、裁判になってしまった事案の善後策、トップレイヤーの人たちの転職相談などだ。千差万別で、いずれも解決は容易でないが、「人と人、企業と企業をつなぐ」をコンセプトにビジネスをしているので、さまざまな仕事が舞い込んでくるのだろう。
そんな中で最近、大手企業の企画部門から社内のペーパーレス導入の相談があった。聞くと経営課題に取り上げられ、企画部門に降りてきたとのこと。プロジェクトの処理プロセスで大量の書類が作成されているが、再利用が出来ないし、そもそも何から手をつけたらよいかわからない状態だという。よくある話ではあるので、ペーパーレスについて改めて整理をしておこう。
タブレットデバイスの進化はペーパーレスの推進要因の1つになった文書管理の原点はファイリング
電子化が進む以前は実体としての紙が大量にあり、利活用するための「ファイリング」という概念があった。体系化された分類基準に従ってインデックスを付与して整然と管理し、後の検索や再利用を容易にするものである。手描きの図面の類はどうかと言えば、保存性のよいマイクロフィルムにして、インデックスを割りふる。写真は保存すべき記録をプリントとネガで同様に管理する。資料として収納する際には保存期限を定め、期間が過ぎると廃棄していくリテンション管理もしっかりしていた。ファイリングが紙情報を活用する基本だったのだ。
その後、電子化が進んで書類の作成が、WordやExcel、PowerPointに依存するようになると、一気に様変わりした。紙情報をスキャンしてPDFなどのイメージファイルにしたものも同様である。
この種の電子ファイルはデータとは言えず、紙情報を電子化したにすぎない。本来ならファイリングシステムのような体系的分類とインデックスと収納をすべきだが、そうはならなかった。厳格な分類も、まともなインデックスも、リテンション管理の考えもなく、部門ごとのファイルサーバーに収納するだけだった。際限のないファイルサーバーの肥大化と膨大なプリントアウトと再利用の困難を招くことになったのだ。
●Next:ペーパーレスが業務プロセス変革の契機に
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