矢野経済研究所は2020年12月24日、国内QRコード決済市場の現況、参入企業の動向、将来展望を発表した。2019年度のQRコード決済市場規模は1兆8369億円まで拡大した。2024年度のQRコード決済市場規模は、サービス提供事業者の取扱高ベースで10兆290億円まで拡大するとしている。
矢野経済研究所は、国内QRコード決済市場を調査した(図1)。2019年度のQRコード決済市場規模は1兆8369億円まで拡大した。2024年度のQRコード決済市場規模は、サービス提供事業者の取扱高ベースで10兆290億円まで拡大する。
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QRコード決済はこれまで、中国で普及しているAlipayやWeChatPayの利用者を取り込むことを目的に導入が進んできた。QRコード決済サービス提供事業者は、導入コストや手数料率の低さを訴求し、導入企業の拡大に取組んできた。
2019年度は、QRコード決済の利用を促す動きがみられた。例えば、加盟店に対しては、手数料を無料化する動きが見られた。利用者に対しては、大型キャンペーンによるインセンティブ付与という動きが見られた。政府が実施したキャッシュレス・消費者還元事業も市場を拡大した。
QRコード決済サービス提供事業者は、加盟店の手数料を無料化することで、QRコード決済の導入を促し、加盟店数の拡大を図っている。また、割引クーポンを配信することで、加盟店の売上増加を支援する動きもみられる。
利用者のメリットに注目すると、QRコード決済サービス提供事業者が実施する、大型還元キャンペーンによるポイント付与や、加盟店で利用できるクーポンの配信などを通じ、ユーザー数が拡大している。
QRコード決済アプリに飲食店の事前注文、タクシー配車など決済以外の機能をミニアプリとして搭載することで、スーパーアプリの実現を目指す動きもある。アプリで利用できるサービスの種類が増えれば、利用者とアプリの接点が増加し、QRコード決済の利用が一層拡大する可能性がある。
今後も市場は拡大する。2021年度頃までは、新型コロナウイルスの影響によってキャッシュレス決済のニーズが高まる。利用可能な箇所が増えるなか、利用者がクーポンなどを通じて他の加盟店に送客されることで、取扱高の拡大につながる。QRコード決済に搭載されるミニアプリが増えることで、利用者がアプリを利用する機会がさらに増え、QRコード決済市場拡大の追い風になる。