ヤクルト球団は、顧客行動分析クラウドサービス「USERGRAM」をECサイトに導入した。ECサイトを訪れる顧客の行動(順序や流れ)を把握・分析するクラウドサービスである。狙いは、コロナ禍で課題となったファンとの接点を強化すること。まずはECサイトのグッズ販促の領域で利用を始めた。今後、チケットECサイトやファンクラブサイトなど、他のデジタル接点にもアプローチを広げる。日本プロ野球チームでの導入は4球団目となる。USERGRAMを提供するビービット(東京都千代田区)が2021年12月8日に発表した。
プロ野球チームの東京ヤクルトスワローズを運営するヤクルト球団は、ECサイトを訪れる顧客の行動(順序や流れ)を把握・分析するクラウドサービス「USERGRAM」の利用を開始した。狙いは、コロナ禍で課題となったファンとの接点を強化することである。まずはECサイトのグッズ販促の領域で利用を始めた。グッズショップのユーザー行動データを活用し、ファン体験を改善する。これを起点に、チケットECサイトやファンクラブサイトなど、他のデジタル接点にもアプローチを広げる(図1)。
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USERGRAMの利用により、「いつ、どこから流入し、どのページを何秒閲覧したか」を可視化する。属性情報や顧客IDから、誰が行動しているかも分かる。PCやスマートフォンなど別個のデバイスでアクセスしていても、顧客IDが同じであれば同一ユーザーとして特定が可能である。店舗での購入や、コールセンターでの対応履歴、ダイレクトメールの発送履歴など、リアルチャネルでの行動データも取り込める。
ヤクルト球団は、USERGRAMの評価ポイントとして、ユーザー1人ひとりの時系列行動データを可視化できる点を挙げる。ユーザー目線に立った施策の立案、検証などの作業を効率化し、オンラインとオフラインのデータを横断的に分析できる点も評価。オンラインとオフラインで切れ目のないファン体験の企画が可能になったという。
ビービットは、ヤクルト球団の取り組みの背景について、コロナ禍で球場への来場制限を迫られ、従来のビジネスモデルに限界を感じるようになっていたことを挙げて次のように説明している。
「ファンとの新しい接点のあり方を模索した結果、オンラインショッピングの需要増に着目し、まずはECサイトを軸にファン体験の改善と成果創出に取り組んだ。この中で、ファンの属性データは豊富に持っているが、1人ひとりの行動データを取得できていないことが明らかになった。さらに、ユーザー1人ひとりがECサイトでどのような体験をしているのか分からず、ファンの体験改善のための企画にデータを活用できていないという課題があった」。