矢野経済研究所は2022年5月11日、国内外のXR(VR/AR/MR)および360度動画市場を調査し、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)製品の国内出荷台数予測を公表した。 現在のHMD市場はVR向けが大半を占めており、2021年のXR(VR/AR/MR)および360度動画対応のHMD機器の国内出荷台数は72万台だった。
矢野経済研究所は、国内外のXR(VR/AR/MR)および360度動画市場を調査し、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)製品の国内出荷台数予測を公表した(図1)。 現在のHMD市場はVR向けが大半を占めており、2021年のXR(VR/AR/MR)および360度動画対応のHMD機器の国内出荷台数は72万台だった。
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市場概況として、HMDを使ったVR(仮想現実)は、市民権を得て普及段階に入りつつある。VRはコンシューマ用途だけでなく、コロナ禍において人の移動や集団行動に制約がある現在、教育・研修分野や販売分野などで有用性が認められ、企業向けの導入が急拡大している。
一方、AR(拡張現実)は、ARスマートグラスへの関心は高いものの、ディスプレイ画質・視野角やバッテリ、コストなどの問題に起因して製品化がなかなか進まない。用途は、建築・建設現場や物流など企業向けが主体である。MR(複合現実)は、対応する製品が少ないことに加え、コスト高なため、企業向けの用途が主体だが、自動車メーカーが大々的に導入した事例もある。
将来展望として、5G(第5世代移動体通信サービス)が2022年に入ってからミリ波への対応を開始し、無線ネットワークの環境が整いつつある。総務省も、導入スケジュールの前倒しを表明した。一方、XRへの波及は、5Gのエリアカバー率が上昇し、スマートシティの運用が本格化し始める2024年以降になる見通し。
VR向けHMDは現在、有力なリードデバイス(製品)が不足している。本格的な普及は、既存製品の世代交代を予定している2023年以降になると予測する。AR、MR向けスマートグラスについては、2022年にいくつかの新製品が市場に登場し、2023年には本格的な普及が始まる見込み。
アプリケーションは、2021年に続いて、企業の教育・研修分野、コンシューマ向けではVRゲーム、動画配信を中心に市場拡大が続く。また、今後はメタバース(仮想空間)関連の動きについても注目を集める見通し。2022年のXR(VR/AR/MR)と360度動画対応のHMD国内出荷台数は、前年比微減の70万8000台を見込み、2023年の同出荷台数は同161.3%の114万2000台と予測する。