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[プロセスマイニング コンファレンス 2022 LIVE]

NTTが挑む、DXに向けたプロセス変革の全体像と価値

2022年7月26日(火)

膨大なプロセスを有する大規模組織が業務プロセス改革を進めるには――。2022年6月22日にオンライン開催された「プロセスマイニング コンファレンス 2022 Live」(主催:インプレス IT Leaders)の日本電信電話(NTT)とSAPジャパンのセッションでは、NTT 技術企画部門 IT推進室 次長 駒沢健氏と、SAPジャパン ソリューション事業推進部 シニアビジネスデペロップメント 森中美弥氏が登壇し、NTTグループにおけるDXとビジネス変革の取り組みと、SAPのビジネスプロセス変革ソリューション「SAP Signavio」を紹介した。

DXの取り組みを一元的に把握するために必要な“共通の下敷き”

NTT 技術企画部門 IT推進室 次長 駒沢健氏

 NTTグループでは、2018年に中期経営計画「Your Value Partner 2025」を発表、その中の重要キーワードとして「DX(デジタルトランスフォーメーション)」を掲げている。それを受けて巨大組織であるNTTグループのDXに取り組んできた技術企画部門 IT推進室 次長 駒沢健氏は今回の講演で、NTTグループが考えるDX、DXを進めるにあたって重要な要素となった概念であるEA(エンタープライズアーキテクチャ)、その概念の中でのビジネスプロセス、改革の測定方法について説明した。

 駒沢氏は、「DX推進の一歩となるのがビジネスプロセスの可視化と見直しです」と説明した。可視化により、プロセスの何を変えれば価値がでるのか、どこにメスをいれれば価値がでるのか、価値を出すには誰と組めばいいのか、価値をシミュレーションできるのか、価値をどうやって測定できるのかといったことを把握できるようになり、見直しにつながる。しかし、企業規模が大きいとプロセス数も多くなり、その把握も難しくなる。

 「NTTグループは会社数も多く、膨大なプロセスを持っています。そのNTTグループがDXに向けたプロセス変革を進める際に必要と考えたのが“共通の下敷き”、それを作るために必要なのがエンタープライズアーキテクチャ(EA)です。アーキテクチャがないとシステムやプロセスはサイロ化し、個別最適、個別改善の山になります。EAによって全体のどこで何をしているか、それによって何が変わるかが一元的に捉えられるようになります」(駒沢氏)

 EAは、4+1のドメインで表現される。業務(ビジネスアーキテクチャ)、データ(データアーキテクチャ)、システム(アプリケーションアーキテクチャ)、テクノロジー(テクノロジーアーキテクチャ)の4つに「ルール・組織・文化」を加えたものだ。駒沢氏は「中でも重要となるのがルール・組織・文化を変えることです」という。

図1:EAを構成する4+1のドメイン
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 業務、データ、システム、テクノロジーについては、標準のアーキテクチャを使うことでポリシーを作ったり「Fit-to-Standard」や「Data Driven」を実現できるが、ルール・組織・文化については「チェンジマネジメントが確実に必要になります」(駒沢氏)

 アーキテクチャをブレイクダウンしたものが、オープンデジタルアーキテクチャ。SoE(エンゲージメントを管理するシステム)、SoR(バックオフィス業務を担うシステム)、SoC(データ管理やインテリジェンスのシステム)で構成される。

 「SoEはユーザー、パートナー、機器等のタッチポイントに関する領域で、マイクロサービスに素早く開発する。SoRはエンジン部分になるので、しっかりと組み上げる。データを扱ったり、マネージメントしたり、活用したりするSoCのプラットフォームはネットワークセキュリティで安全に守る、といったアーキテクチャで物事を整理しています」(駒沢氏)

 NTTでは、このアーキテクチャを、まずいくつかの領域にブレイクダウンし、各領域でどんどんブレイクダウンを進めていって、最終的に1個1個の粒のプロセスを見る、という方法でグループ内に推進しているという。

ルールやプロトコルを整備しステークホルダーと会話する

 実際にプロセスを分析する場合、重要になるのがビジネスアーキテクチャだ。

 「ビジネスアーキテクチャでは、DXのゴール設定、いかにオペレーションを自動化するか、プロセスをどう標準化するか、業務をいかにシンプルにするかを整理整頓する必要があります。NTTではフレームワークとしてEAのグローバル標準である『TOGAF標準』を活用、まず変革したい状態をTo Be(ターゲットアーキテクチャ)として描き、そこからAs Is(ベースラインアーキテクチャ)を見て着実に進めていくようにしています」(駒沢氏)

 ここで難しいのはターゲットアーキテクチャをどのように描くかだという。方法としては、ペルソナからあるべき姿を描く、業種業界ごとにグローバル標準を採用してカスタマイズする、グローバルスタンダードのパッケージをベースとして採用するといった3つのパターンがある。

 「NTTでは、それら3つを組み合わせて実施しています。ターゲットアーキテクチャとベースラインアーキテクチャのギャップ(プロセスデビエーション)を可視化し、その後、デジタルツールを使ってプロセス、システムの全体像を描いていきます。モデリング言語のArchimateやBPMN2.0を使い、ビジネスプロセスマネジメント機能として『SAP Signavio』を採用してプロセスを描いています。プロセスのモデリングでは誰が何を担当するか役割(ロール)やセキュリティを意識して実施することが重要です」(駒沢氏)

 DXの取り組みでは、進捗や効果を測定することも重要となる。ビジネスアーキテクチャの領域では、コスト削減やプロセス削減、帳票削減、テクノロジー領域ではクラウド活用率の向上などとなる。

図2:経営の可視化には内部、外部にさまざまなKPIの事例がある
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 最後に駒沢氏は次のようにポイントをまとめた。「No Board, No Chessという言葉があります。チェス盤がなければゲームが成立しないように、標準の共通の下敷きがなければ多くのステークホルダーとの会話も成立しません。しっかりとチャート、ルール、プロトコルを作り、DXの改革に取り組んでほしいと思います」(駒沢氏)

「SAP Signavio」でプロセスの管理や改善を支援

SAPジャパン ソリューション事業推進部 シニアビジネスデペロップメント 森中美弥氏

 SAPジャパン ソリューション事業推進部 シニアビジネスデペロップメント 森中美弥氏は、NTTグループがDX推進で活用したというSAP Signavioを使ったプロセスの管理や改善について解説した。

 ビジネスプロセスの変革では、目指すべきビジネスゴールに向けて、全体像を地図としたプロセスの現在の姿とあるべき姿を描くことが重要だと、NTTの取り組み事例で指摘した。しかし、多くの企業では、ビジネスプロセスの管理にも課題を抱えている。例えば、ファイルや業務の冗長化、情報粒度やルールの不統一性、断続的なマニュアルコミュニケーション、プロセス情報の欠落・断片化、随所に残る非効率性などだ。

 「何かを変えようとしても、実態の把握だけで、多大の時間がかかることが目に見えてしまうため、結果として、人は『やらない』『やりたくない』という意識に動いてしまいがちです。実際、お客様からも「やれる範囲のこと」で対応を積み重ねた結果、全体最適には遠い状態にあるという話をうかがっています。この第一歩、業務プロセス管理を整えることが対応のスピードを挙げ、変化することへの備えとして重要です」(森中氏)

 こうした状況に対して、効率的にビジネスプロセス管理を整備し、設計と分析を繰り返すような継続的に業務改革を実現するために、SAPでは包括的なソリューションポートフォリオで企業を支援している。それが、同社が提供するビジネスプロセストランスフォーメーションスイートである「SAP Signavio Process Transformation Suite」だ。

 SAP Signavio Process Transformation Suiteが提供する複数のソリューションを連携させることで、プロセスのモニタリング、As Is分析、To Be設計とシミュレーション、改善策実装、To Be展開といったプロセス改善のサイクルを回していくことが可能になる。

ゴールと地図があってこそ迅速な改革が実現する

 SAP Signavio Process Transformation Suiteを構成するソリューションは6つある。

 プロセスポートフォリオの可視化、文書化、比較、シミュレートする「SAP Signavio Process Manager」、SAPシステムにおけるプロセス改善余地と対応優先度の把握する「SAP Signavio Process Insights」、データドリブンアプローチによるEnd to End プロセス発見、分析といったプロセスマイニングを行う「SAP Signavio Process Intelligence」、カスタマージャーニーの設計、業務プロセスとの紐づけを行う「SAP Signavio Journey Modeler」、プロセス管理関連タスクのガバナンスと運用の推進する「SAP Signavio Process Governance」、No Codeでのワークフロー管理とRPA開発を担う「SAP Process Automation」だ。

図3:SAP Signavio Process Transformation Suiteを構成するソリューション群
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 このうち、SAP Signavio Process Managerは、階層型プロセス管理やプロセス変更による影響度のシミュレーションを行うことで、BPMN2.0に基づくデジタルなプロセス管理によって変化への対応力を強化できる。SAP Signavio Process Insightsでは、ボトルネック状況やプロセス性能指標を即座に表示したり、同じSAP ERP機能を利用している他社の統計情報と比較できる。SAP Signavio Process Intelligenceはいわゆるプロセスマイニングソリューションであり、システムログの分析により気づきの深掘り、計画と実態のギャップの有無の確認が可能だ。

 森中氏は、「ゴールと地図がなければ、設計、分析の方針は定まりません。ビジネス改革のためにはゴールを設定し、それに的確かつ柔軟に対応できる地図が必要です。それらがあってこそ、分析を生かして迅速に改革を進め、世の中の変化のスピードに遅れない効果的なサイクルを継続できると考えています。こうしたサイクルをご支援する手段がSAP Signavioソリューションです」と話を締めくくった。


●お問い合わせ先

 

SAPジャパン:https://www.sap.com/japan/index.html

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