[調査・レポート]

RAGなどの需要増で、2024年度の生成AI導入支援サービス市場は前年比284%へ─デロイト トーマツ ミック研

2024年8月20日(火)IT Leaders編集部

デロイト トーマツ ミック経済研究所は2024年8月19日、市場調査レポート「法人向け生成AI導入ソリューションサービス市場動向 2024年度版」の概要を発表した。2023年度の同市場は67億円で、2024年度はRAG構築の急増などで対前年比284%の192億円を見込んでいる。

 デロイト トーマツ ミック経済研究所は、市場調査レポート「法人向け生成AI導入ソリューションサービス市場動向 2024年度版」を発行した。

 表1は、調査における同市場のカテゴリーと定義である。2024年6月~8月に法人向け生成AI導入支援サービスを提供するベンダー26社を調査し、その他のベンダーを加えて推計した市場全体の動向を分析し、2028年度までの市場予測を行っている。

表1:法人向け生成AI導入支援サービスのカテゴリーと定義(出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所)
カテゴリー 定義
プロダクトライセンス(ソフトウェア/サービス)

ベンダー独自開発のLLM/生成AI:
個社最適化により機密データ漏洩リスクを低減し、セキュリティを強化した生成AIモデル。生成AIの独自開発基盤を含む

汎用LLM/生成AIとの連携プロダクト:
ChatGPTなどの汎用LLM/生成AIマネージドクラウドに、API連携利用するシステム(チャット、FAQ、CRM、DevOps、ほか)

コンサルティング

アセスメントフェーズ:
事業化支援、社内導入支援、リスク管理支援、ほか

PoCフェーズ:
カスタマイズによる生成AI提供と評価、プロンプト作成支援、ほか

実装フェーズ:
顧客システムへ組み込むためのシステム構成や設計支援

SIサービス

個社特化LLM開発:
ファインチューニング、RAG(検索拡張生成)支援

組み込み実装:
生成AIシステムのデプロイ、個社システムとの連携、機能拡張

教育サービス

ガバナンス担当者、開発者向けの生成AIのスキル習得、実務研修

 国内の同市場のトレンドとして、特定用途のためのナレッジベースを構築するRAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)やファインチューニングの需要増、汎用LLM/生成AI連携製品・サービスの増加、マルチモーダルAI(動画、静止画、音声など複数のAIモデルを統合処理)によるユースケースの拡大を挙げている。これらのトレンドから、新規参入する製品・サービスベンダーやSIベンダーが増えているという。

 2023年度の法人向け生成AI導入支援サービスの市場規模は67億円で、2024年度は対前年比284%の192億円を見込む。以降、2025年度は同165%の319億円、2026年度は同157.6%の503.5億円と高成長が続くことを予測している。

 カテゴリー別では、2023年度は「コンサルティング」(45.9%)、「SIサービス」(35.6%)、「プロダクトライセンス」(14.4%)、「教育サービス」(4.1%)の順になった。デロイト トーマツ ミック経済研究所によると、2024年度には、RAGの浸透に伴い、汎用LLM/生成AI向けの「個社特化LLM開発」が急激に伸長し、SIサービスとコンサルティングの順位が逆転するという。

 2028年にかけてのCAGR(年平均成長率)は78.0%で、2028年度は1212億円の市場規模に達すると予測している。この時期のカテゴリー別では、SIサービスが658億円で市場全体の54.3%を占め、SIサービスのCAGRは93.7%で伸長し、これらが引き続き市場を牽引すると見ている(図1)。

図1:法人向け生成AI導入支援サービスのカテゴリー別中期予測(出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所)
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