キリンホールディングス(本社:東京都中野区)は、調達・購買における検収処理の滞留の解消に取り組んでいる。2025年1月に、調達システム「SAP Ariba」のデータをプロセスマイニングツール「Celonis」で可視化・分析し、滞留を検知して督促する仕組みを構築。半年間の運用から、1年換算で160人日の工数削減を見込んでいる。Celonisが2025年9月10日に発表した。
キリンホールディングスの調達部は、キリングループ全体の調達・購買を担っている。2023年に間接材の調達システムとして「SAP Ariba」を導入したが、毎月約2万件に及ぶ膨大な取引件数の中で、調達・購買業務における請求書の登録・承認といった検収処理の滞留が課題になっていた。
同部は、支払遅延による下請法への抵触リスクを回避するため、全取引のステータスを確認し、取引先や社内担当者に実行を促す督促業務を行っている。しかし、この業務プロセスおよび業務を扱う内製開発のシステムに複数の問題があったという。
「業務開始前の早朝に対応が必要なこと、締日前に業務負荷が著しく高まること、さらに、システムが高度な専門性を持つ一部のメンバーしか維持管理ができない属人化したシステムだったこと。業務の持続性の観点から、改善が急務だった」(同部)
調達部はこれらの課題を解決するために、業務プロセスを可視化・分析するプロセスマイニングに着目し、2025年1月に「Celonis」を導入。Aribaのデータから業務の滞留を検知し、督促メールを自動送信する仕組みを構築した。
従来の独自システムではできなかった、「サプライヤーに請求書の登録を依頼」「社内の発注者に承認を要求」といったリマインドを実行。導入から約半年間の監視を通じて、1年換算で160人日程度の工数削減を見込んでいる。
Celonisの利用にあたって、属人化していた業務ロジックを明文化し、データの加工から督促の自動送信までを1つのシステムで統一を図っている。現場の請求者においては、一連の業務における滞留やミスが減り、調達部の業務がスムーズに進み始めているという。
キリンは今後、Celonisの適用範囲を営業・生産・財務など調達部以外の部門に広げることを視野に入れている。「Salesforce」や「ServiceNow」などのアプリケーションとCelonisを連携させ、グループ全体で業務プロセスの改善を推進するとしている。