[事例ニュース]

キリンと日立、消費者の飲料選択や飲酒行動の要因をAIで解明する共同研究

消費者のビッグデータをマルチモーダルAIや行動科学、デザイン思考で分析

2025年12月18日(木)日川 佳三、河原 潤(IT Leaders編集部)

キリンホールディングス(本社:東京都中野区)と日立製作所は2025年12月17日、消費者の飲料選択や飲酒行動の要因を解明する共同研究を2025年12月から開始したと発表した。キリンが保有する消費者嗜好データや成分データと、日立のマルチモーダルAI技術、行動科学・デザイン思考を組み合わせ、商品開発の高度化や健康増進への貢献を目指す。

 キリンホールディングスと日立製作所は、消費者の飲料選択や飲酒行動の要因を解明する共同研究を2025年12月から開始した。キリンが消費者嗜好データや成分データを、日立がマルチモーダルAI技術、行動科学、デザイン思考を持ち寄って、商品開発の高度化や健康増進への貢献を目指す(図1)。

図1:消費者の飲料選択や飲酒行動の要因をAIで解明する共同研究の概要(出典:キリンホールディングス、日立製作所)
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 取り組みの背景として、消費者の嗜好の多様化を挙げている。「飲料選択には味、香り、成分、パッケージ、生活環境など多様な要因が複雑に影響し合うため、商品開発の初期段階で『選ばれる方向性』を科学的に見極めることは困難とされてきた。また、健康・安全への意識の高まりを受け、消費者がより適切な飲酒行動を取るための背景や影響要因を理解することも求められている」(両社)。

 共同研究では、キリンの大規模な消費者嗜好データおよび成分データと、日立のマルチモーダルAI(異なる種類のデータを統合して解析するAI)、行動科学、デザイン思考を組み合わせる。消費者が飲料を選択する理由や、飲酒行動に影響を与える要因を科学的に解明する新たな基盤の構築に取り組む。

 具体的な研究テーマの1つは、継続的に選ばれる商品開発に向けた飲料選択の要因解析である。飲料の特徴や消費者の評価といった異なる情報をAIで統合して扱う手法を検証し、選択に影響する要因を整理・可視化する。これにより、商品開発の初期段階から、継続的に選ばれやすい味やコンセプトの方向性を科学的に検証し、設計にフィードバックできるようにする。

 もう1つのテーマは、健康や安全に配慮した飲酒行動の要因解析である。行動科学やデザイン思考を活用し、消費者の飲酒行動に影響する認知・感情・環境要因の整理・分析を行う。適正な飲用行動を促進する施策の検討や、社会全体の健康増進に資する知見の獲得を目指す(画面1)。

 今回の研究は、キリンが嗜好調査結果と成分分析値を一元管理してAIなどで解析する社内基盤「嗜好プラットフォーム(嗜好PF)」を活用した取り組みの一環となる。両社は今後、本研究で得られた知見を基に、商品開発の意思決定の高度化や、AI・行動科学を応用した社会課題解決への貢献を目指すとしている。

画面1:キリンは、健康意識の高まりや多様なライフスタイルへの対応として、アルコールを飲む人も飲まない人も尊重し合える社会を目指し、「スロードリンク(Slow Drink)」と呼ぶ新しいアルコールの楽しみ方を提唱している
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