[事例ニュース]

スマホと生成AIでカルテ下書きを自動作成、オンプレミス環境でセキュアに完結─JCHO北海道病院など

診察室の会話をAI音声認識で電子カルテに連携、医師の記録業務負担を軽減

2026年1月20日(火)日川 佳三、河原 潤(IT Leaders編集部)

独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)北海道病院(北海道札幌市)、プレシジョン、シーエスアイ、NTTドコモビジネスの4組織は2026年1月19日、診察室での会話から生成AIを用いてカルテの下書きを作成し、電子カルテへ連携する実証実験を開始したと発表した。スマートフォンを音声入力端末として活用し、院内のオンプレミス環境で生成AIによる処理を完結させる仕組みは国内初という。

 独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)北海道病院、プレシジョン、シーエスアイ、NTTドコモビジネスの4組織は、診察室での会話から生成AIを用いてカルテの下書きを作成し、電子カルテへ連携する実証実験を開始した。

 この実証実験は、厚生労働省の「ICT機器を活用した勤務環境改善の先駆的取組を行うモデル医療機関調査支援事業」の採択を受けたプロジェクトである。医師の長時間労働の要因となっているカルテ入力などの記録業務を効率化し、患者との対話時間を確保することで医療の質の向上を目指す。

 図1は、実証実験で利用するAI音声認識の利用イメージである。診察室での医師と患者の会話を、NTTドコモビジネスが提供するスマートフォンで収音する。音声データは院内のセキュアなネットワーク内にあるオンプレミスサーバーへ送られ、プレシジョンのAI音声認識システム「今日のAI音声認識」によってテキスト化される。

図1:実証実験におけるAI音声認識の利用イメージ(出典:独立行政法人地域医療機能推進機構 北海道病院、プレシジョン、シーエスアイ、NTTドコモビジネス)
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 テキスト化されたデータは、同サーバー上の生成AIモデルによって解析・要点整理され、医療機関標準のSOAP(主観的情報、客観的情報、評価、計画)形式カルテの下書きが生成される。この下書きデータは、シーエスアイの電子カルテシステム「MI・RA・Is V(ミライズ・ファイブ)」に連携され、医師は内容を確認・修正するだけで記録を完了できる(図2)。

図2:実証実験のシステム構成(出典:独立行政法人地域医療機能推進機構 北海道病院、プレシジョン、シーエスアイ、NTTドコモビジネス)
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 特徴は、情報の安全性を重視して処理を院内で完結させている点にある。音声データや診療情報は外部のクラウドへ送信されず、院内ネットワークに設置したオンプレミスの生成AIサーバーで処理される。これにより、高いセキュリティレベルで個人情報を保護する。AIモデルには、内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」で開発された大規模言語モデル(LLM)を採用している。

 また、電子カルテとの連携には、医療情報連携の標準規格である「SMART on FHIR」を採用して相互運用性を確保している。データ形式や認証・認可の仕組みにOAuth 2.0/OpenID Connectを用いて、同規格に準拠したソフトウェア同士でカルテデータを連携できる。

 先行して行ったクラウド版での検証(別の医療機関でのデータ)では、再診患者50名を対象とした調査において、患者の入室から次の患者の入室までの所要時間が20%以上短縮されたという。今回の実証実験でも、記録業務の大幅な削減と、それに伴う診療(対話)時間の拡大が期待されている。

 対象となる診療科は、総合診療科およびその他の内科系専門診療科から先行して導入する。4組織は今後、JCHO北海道病院での運用を通じて得た知見を基にシステムの改良を進め、看護記録やリハビリ記録など他業務への適用や、JCHOグループ病院および全国の医療機関への展開も検討していくとしている。

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