“あれば便利”でシステム構築を進めたらキリがない。ましてITガバナンス不在のまま、事業部門や管理部門の要求を受けていたら、コスト・コントロールは出来ない。
こうなってくると投資効果が計測できる部分は少なくなり、いかに安く標準装備を維持するかというコスト意識が強くなる。まして昨年後半からの世界同時不況の荒波に揉まれれば、企業防衛のためにもコスト削減に走らざるを得ない。経営者から見れば情報化投資は、その格好のターゲットだ。
しかしインフラ化したITのコスト削減は、短時日では難しい。実際に行われているのは新規開発の中断や先送りである。情報サービス産業で痛みを受けているのは主に「開発」であり、「運用」を請けている会社の痛みは少ないようだ。
もともと中断や先送りができる新規開発は、本当に必要なのかを問い直すべきである。“あれば便利”で構築を進めたらキリがない。ましてITガバナンス不在のまま、事業部門や管理部門の要求を受けていたら、コスト・コントロールは出来ない。
利活用に焦点を!
注意すべきは経営とITの論議の多くが構築論に終始することだ。新しい製品や新しいサービスを使ってこんなことが出来ますよという話や、こんなシステムを作りましたという話が多く、利活用の継続的な観測や分析の話はユーザーの中に埋もれている。たまに露出するのは、ほとんど使われた実績のない行政システムの話題くらいである。
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