[海外動向]
米国コラボレーションソフトウェア最前線―Web 2.0技術を採用した社内イノベーションへの動きが加速
2010年2月23日(火)山谷 正己(米Just Skill 社長)
単に情報を受発信するだけでは何も生まれない。社員同士が相互に作用しながら全く新しい知を創り出す。ソーシャルメディアは、そうした社内コラボレーションを可能にし、企業に継続的な変革のチャンスをもたらす。
対人コミュニケーションで刺激を与え合い、思考という“個人内コミュニケーション”を高める。複数の人がこうした相互作用を繰り返しながら物事を決め、遂行する。それが、コラボレーションである(図4-1)。社内のコラボレーションをいかに促進するかは、多くの企業にとって長年の課題になっている。
Lotus Notesが1990年に生まれて以来、数々のグループウェアが開発され、上のような問題意識を持つ企業に普及した。しかし、多くはメールやファイル共有といったコミュニケーション機能を提供するにとどまり、それだけで即、社員1人ひとりが積極的にコンテンツを生み出すコラボレーションを引き起こすような例は極めてまれだった。
ところが、2000年代にソーシャルメディアが登場。気構えることなく個人が自由に情報発信しやすいそれは、かつてのグループウェアが果たせなかったコラボレーションを現実的なものにし始めている。
ソーシャルメディアを構成するのはブログやマイクロブログ、Wiki、ソーシャルブックマーキング、RSSフィード、マッシュアップ、PodキャスティングといったWeb2.0の技術だ。これらの技術は、ユーザーが自分で自由な形式でコンテンツを作り、コミュニティ内で交換・共有することを容易にする。
こうしたソーシャルメディアを駆使して知識の生成や共有・交換を支援する企業向けWebサービスを、「コラボレーション2.0」と総称する。これらを活用することにより企業は、社員が積極的に知識やアイデアを出し合う場を構築。そこで育まれた集合知(collective intelligence)を全社共有の資産にして、業務のさらなる高度化に生かせるようになる。
社内の受発信を活性化
飛び交う情報量が17倍に
米国ではすでに、多くのベンダーがコラボレーション2.0市場に参入。自由形式の書き込みや検索、フィードといったベーシックなコラボレーション機能だけでなく、社内におけるアイデア創発を目指すイノベーションマネジメントや、受講者同士が互いに知識を高め合うソーシャルラーニングといったシステムを提供しているものもある。次ページ表4-1に、そうした例を示す。
導入企業も相次いでいる。その1社が、薬局チェーン最大手のCVS Caremarkだ。同社の営業部門は従来、製品や市場動向など業務に必要な情報を、5種類の文書管理システムで分散管理していた。営業担当者にとって、散在する情報から必要なものを探し出すのは面倒であるため、社内の専門家に電話やメールを使って個別に問い合わせるケースが多かった。回答者である専門家にとっては、質問への対応に時間をとられて本来の業務が滞る弊害が生じていた。さらに、やりとりが質問者と回答者の間に閉じていたため、複数の担当者から受ける同じ質問にいちいち答える無駄も多かった。
CVSの経営陣は、こうした問題を解決するには社内の知識を集約して有効活用できる環境が不可欠と判断。そのためのツールとしてOutStart社のコラボレーションシステムを採用し、Maxと名づけた。効果は絶大だった。営業担当者がMaxに質問を書き込むと、1時間もしないうちに社内の誰かが答えを書き込んでくれる。電話やメールでの問い合わせと違い、相手の業務を中断させることもない。その便利さに気づいた社員の間で知識の共有やコラボレーションに対する意識が高まり、Max上では今、活発な意見交換が起きている。投稿される質問の数は、電話やメールを使っていたころの17倍に増大した。もちろん、そうしたやりとりはすべて検索・閲覧可能だから、同じ質問が何度も投稿されることはない。
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