G10プロジェクトは、各システムの開発・単体テストを終え、2010年12月からシステム間結合テストを実施中である。具体的には、ECや会計などデータモデルを異にするシステム同士を、データ連携ツール(インフォテリアの「ASTERIA」と日立製作所の「Data Stage」)でつなぎ、他システムと正しくデータを受け渡しできるかどうかを確認する作業だ。
難しいのは、アビームコンサルティングがSAP導入、住商情報システムが会員システム構築、といった具合に複数ベンダーが開発に携わっていること。マルチベンダー体制では、結合テストにおいて責任の所在があいまいになり、バグや機能漏れが発覚した際の対策に遅れが出る危険がある。
そこで、GDOは結合テストを前にある工夫をした。全体で約500本あるシステム間インタフェースごとに、テストの実施や問題修復に責任を持つ主管チームを明確にしたのだ。主管チームは、テスト対象となるシステムやデータ連携ツールの設定について、各担当チームが単体テストを完了させ、それぞれ要件を満たしていることを確認。インタフェース定義書を基に、作成済みのテストケースに沿って結合テストを主導する。テストケースとは、社内での業務フローやWebサイトにおける顧客の動きをシナリオ化したもの。「テストケースを用いる点で、単なる疎通テストとは違う」(志賀智之IT戦略室長)。
結合テストに用意したテストケースは、合計3000を超えるという。「このフェーズの期限は2月末。それまでに、膨大な数のテストケースをすべてチェックし、バグを修正しなければならない。チーム間のスケジュール調整が大変で、年末年始を挟み、現場はちょっとした“惨劇”の様相を呈している」(志賀室長)。量の多さに加えて、ファイル名やテーブル名の間違いといったケアレスミスによる不具合が発覚しているからだ。ただし、「不具合は想定の範囲内。詳細なインタフェース定義書を作成したおかげで、インタフェースに致命的なバグは見つかっていない」(志賀室長)。
テストと運用設計を並行実施
2011年に入り、G10プロジェクトは7月の全面稼働に向けて怒濤の後半戦にさしかかろうとしている。システム間結合テストを終了した後、3月に総合テストへと駒を進める。その間、志賀室長をはじめとするG10推進チームはシステム移行や業務移行計画の立案、稼働後の運用設計といった作業を同時並行で進めていく。4月にはいよいよ、ユーザーによる受け入れテストを開始する。
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